1999 Fiscal Year Annual Research Report
長期脊髄損傷者における内臓脂肪蓄積肥満の機序と予防策の検討
Project/Area Number |
11835017
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
今井 香織 岡山大学, 医学部, 助教授 (60193645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相澤 好治 北里大学, 医学部, 教授 (10124926)
池田 敏 岡山大学, 医学部, 教授 (60151289)
吉良 尚平 岡山大学, 医学部, 教授 (50033212)
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Keywords | 脊髄損傷 / 内臓脂肪 / 肥満 / リハビリテーション / 高血圧症 / 糖尿病 |
Research Abstract |
脊髄損傷者(脊損者)の受傷後余命の延長と生活環境の変化は、脊損者の併発疾病に大きな変化をもたらしている。我々の調査によると、労災リハビリテーション作業所に入所している脊損者男性では、一般国民に比べて糖尿病と高血圧症の年齢調整した通院有病率、および循環器疾患死亡率が高率を示した。そこで、高血圧症、糖尿病の背景として問題となる肥満の特徴を明らかにするために、脊損者における脂肪肝と肥満指標、血液検査、並びに栄養摂取・生活状況の調査を行い検討した。対象脊損者(61名)の平均年齢は56歳、受傷部位は胸腰移行部(T11-L1)が半数以上を占めた。腹部エコーによる脂肪肝の判定は、肝腎コントラスト及び肝内血管の不鮮明化を基にした。腹壁脂肪指数(AFI)は、剣状突起と臍を結ぶ腹部正中線上で、腹膜前脂肪の最大の厚さ(P)と腹壁皮下脂肪の最小の厚さ(S)を測定し、比(P/S)で表した。CTによる内臓脂肪蓄積肥満の判定は内臓脂肪(v)と皮下脂肪(s)の比(v/s)を基に判定した。血液検査は、肝機能、血清脂質、糖代謝指標を測定した。栄養調査は作業所の給食一週間分の献立を基として聞き取り調査を行った。身体活動性に関しては、生活強度と運動種目および時間から一日の消費カロリーを推定した。その結果、以下の結論が得られた。(1)脊損者の場合アルコールの要因は除外しても脂肪肝の有症率は高率であり、内臓脂肪蓄積傾向が認められた。(2)脊損者の肥満の一因は、摂取エネルギー過剰と考えられるが、併せてBMIが低い状態で内臓に脂肪が蓄積し、脂肪肝となる代謝系の異常が示唆された。今後、脊損者における内臓脂肪蓄積肥満の予防可能性を検討する計画である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 今井香織,池田敏 他: "長期脊髄損傷者における脂肪肝と肥満指標の検討"日本パラプレジア医学会誌. 12・1. 62-63 (1999)
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[Publications] Imai Kaori, Ikeda Satoru et al.: "Fatty liver and visceral obesity in longstanding paraplegics"Epidemiology for sustainable health : Abstract. II. 78 (1999)