1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11835019
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宮前 珠子 広島大学, 医学部, 教授 (10239436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 ひろみ 広島県立保健福祉短期大学, 助教授 (00191560)
田丸 あき子 広島大学, 医学部, 助手 (70314747)
水流 聡子 広島大学, 医学部, 助教授 (80177328)
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Keywords | 役割 / 生活時間 / 慢性障害者 / 生活満足度 / 施設 / 高齢者 / 活動 / 作業 |
Research Abstract |
本研究の目的は、慢性の障害あるいは高齢のために役割喪失に至った障害者の新たな役割獲得を支援するための方法を開発することである.本研究では「役割」を「日常習慣的に行っている作業」と定義し、第一段階として対象者の生活時間とそれが対象者にとってどのような意味を持つかを調査することとした.今年度は、施設で生活する高齢者を対象に次の調査を行った. 対象:老人保健施設等に3ヶ月以上入所中の65歳以上の高齢者で言語的コミュニケーションが可能で痴呆が認められない者43名(男性:10名,女性33名;年齢:65-99歳、平均82.6歳).調査内容:(1)典型的な1日の活動内容.(2)各活動に対する自己認識(その活動は、仕事、遊び、日常生活活動、休息のいずれか.価値、興味、達成度、コミットメントの程度)(3)生活満足度(最も満足な生活を100点とした場合現在の生活は句点か).結果:対象者が行っている活動をNHKの生活時間調査の分類に従って、19項目(休息、食事、身の回りの用事、医療行為・リハビリテーション、テレビ/ラジオ、新聞、雑誌、本、CD/テープ、ビデオ、会話・交際、スポーツ、行楽・散策、趣味・娯楽・教養、買い物、家事雑事、選択・掃除、仕事、社会参加)に分類し、更にこれを予め定められた4大分類(休息、必需時間、自由時間、拘束時間)に分け、生活満足度との関係を見た.その結果、NHKの分類による活動項目の内容と生活満足度との間には相関が認められなかった.一方、本人の認識による活動分類と生活満足度との間には相関が認められ、休息時間と日常生活活動に長い時間をかけている者は生活満足度が低く、遊び・余暇活動の時間が長い者は生活満足度が高いことがわかった.また、対象者は生活時間の相対的な長さによって「休息中心型」「休息・余暇型」「余暇中心型」に分けることができ、それぞれの生活満足点は平均57.1、77.5、84.2であり、先に示す者ほど生活満足感が低く、後に示す者ほど高く、休息中心型と余暇中心型の間には5%の危険率で有意差が認められた.また、何らかの信念や宗教を持っている者の生活満足度が高いことがわかった.結論として、本人が価値をおき傾倒するような余暇活動が高齢施設生活者の生活満足感を高めていることがわかった.
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