2000 Fiscal Year Annual Research Report
頭部外傷の認知・コミュニケーション障害の評価法開発に関する研究
Project/Area Number |
11835033
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
藤田 郁代 国際医療福祉大学, 保健学部, 教授 (70285980)
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Keywords | 脳外傷 / 頭部外傷 / コミュニケーション障害 / 認知障害 / リハビリテーション / 神経心理学的評価 / 予後 |
Research Abstract |
本研究は,脳外傷患者の認知コミュニケーション障害の病態の解明および評価法の開発を目的としている.昨年度は作成中の「脳外傷の認知コミュニケーション評価票」について,談話部門を中心として評価項目の選定とデータ収集・解析を行い,その結果を基に下位検査として「談話機能検査試案」を作成した.本年度は予後予測という観点を入れて認知部門の評価項目の選定を再度行い,経時的なデータ収集を進めた.さらに昨年度に作成した「談話機能検査試案」について病態別にデータ収集を行い,認知機能障害および社会的予後との関係を分析し,評価項目の絞り込みを行った.方法及び結果は下記の通りである. 1)認知部門の評価項目の検討とデータ収集 56名の脳外傷患者について,意識,初期昏睡,外傷後健忘,見当識,awareness,注意,記憶,知能,前頭葉症状に関する18項目の評価を受傷直後,1.3.6ヶ月間隔で実施し,経時的データの収集を進めた.一部の項目について談話機能障害との関係を分析した. 2)「談話機能検査試案」のデータ収集・解析と評価項目の絞り込み 局所脳損傷11名,瀰漫性脳損傷9名,混合型5名,健常者28名を対象に「談話機能検査試案」を実施し,脳外傷の発話特徴を評価する項目を抽出した.項目得点と社会的予後レベル(GOS),外傷後健忘期間(PTA),見当識・健忘スコア(GOAT)との間に有意な相関を認めた.一方,項目得点と受傷時意識レベル(GCS)および知能指数(WAIS-R)との間には相関はなかった. 結果から,今回抽出した評価項目は脳外傷患者の談話障害の特徴を検索し,社会的予後を知る上で有用であると考えられた.また,早期に予後予測を行う上ではPTA,GOATを認知部門の評価項目に含める必要があると考えられた.
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