Research Abstract |
水平に動く視運動刺激をトリガーとして反射性瞬目,片眼随意閉瞼,反対眼随意閉瞼,片側口すぼみ,反対側口すぼみをtaskとして行わせ,その濳時,左右の正確さを表面筋電図記録法で記録分析することで脳高次機能の臨床的検査法としての可能性を検討しており,リハビリテーションへの応用を考えるために,さらに5名の若年被検者に訓練の前後(7日,14日目)でその潜時,正確性への効果を判定した.今回は新たに訓練用視運動刺激をプログラム言語(basic)で作成した.水平視標(赤)が時間的には0.5-2秒の間でランダムに水平に跳躍し,眼前50cmで左右に15度(計30度)のランダム振幅で刺激となるものである.この使用により,訓練の内容を一定(朝夕2回,10-15分間)にして,訓練効果をみることができた.さらにリハビリの現場で,この訓練を導入,臨床応用に直結することができると考えられる.今回の訓練前後での興味ある点をまとめると,各運動における潜時は訓練前では極めて大きい幅が見られるが,訓練後の7日目,14日目ではかなり潜時が一定になることがみられている.とくに被倹者Iはwink(特に右)が大変出来にくい状態から訓練により明確な潜時の短縮が示されている.また7日間の訓練で十分な例も多い.次に種々の中枢神経病変について対座法による検査として5例(小脳変性症,クモ膜下出血後,小脳脳幹出血後半マヒ,脳出血後歩行困難,意欲低下例,脳血管障害片マヒ例)で上記task,さらに上肢のtaskを行った.その結果,出来ない,方向の違い,潜時の著明な延長などが混在し出現した.これからのリハビリを考える際に,この視運動刺激入力による運動検査,訓練効果は,中枢神経系の複雑な異常の把握とその訓練による回復の効果を明確にすることが出来ると考えられた.さらに眼球運動を記録する際に用いられる光電素子法の発展したOber2(スエーデン)を用いて,電極を付けず,ゴーグル装用のみでの記録を試みた.潜時の測定は眼輪筋では可能であったが口,上肢,下肢などへの応用は不可能であることから,今回の筋電図を記録する直接記録法が最も良いと考えられた.
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