Research Abstract |
視運動刺激による視覚入力に対する顔面神経支配筋である眼輪筋,口角挙上筋の各種機能を1)反射性瞬目blink,2)片眼随意閉瞼wink,3)反対眼随意閉瞼anti-wink,4)片側随意口すぼみpuckemouth,5)対側随意口すぼみanti-puckemouthの5種類の課題につき検査した結果を整理,追加,分析し、臨床応用に向けての概略をまとめた.方法論は視運動刺激を眼前に跳躍呈示し,それによる上記5課題のtaskを行なった.表面筋電図記録法で,電極は両下眼瞼外側,両下口唇外下側に,不関電極は耳介につけ記録した.それぞれ10回ずつの記録からその潜時(msec),正確性(方向の,%)を求めた.そのデータは個人差,練習効果による影響も大きいが,練習のあとの潜時も11年度の結果にほぼ類似しており,その20代青年平均値をみると1)blink:175msec,2)wink:230,3)anti-uink:275,4)puckermouth:260,5)anti-puckermouth:300となり,1),2),3)の間では差異がみられた.4)と5)の間でも差異が見られた.これらの事実は脳梁を介しての命令伝達が対側課題での長潜時に関与していると考えられた.正確性(方向の誤り,%)は0-20%が練習により0%近くなるが,個人差が有る.潜時の短縮という訓練効果については,個人それぞれでの有意な効果をみると,1)blink:4/11,2)wink:5/11,3)anti-wink:2/11,4)puckemouth:4/11,5)anti-puckemouth:3/11の被検者に有意な短縮がみられた.日常の臨床の現場ではまずその正確性の結果が第一にあげられ,更に広く,顔面筋に限らず,指,手,上肢,下肢なども同じ課題で検査する方向の一つのモデルとなる.本研究のヒントとなった眼球運動検査におけるanti-saccadeなど特殊課題の問題などをレビューした. さらにillusional line motion sensationという錯視をもちいる空間視覚注意という臨床検査法をあらたに自作装置を開発検討し,視覚高位の機能を捉える方法を提示した.
|