2000 Fiscal Year Annual Research Report
脳卒中片麻痺患者の歩行における姿勢調節に関する研究
Project/Area Number |
11835038
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
長谷 公隆 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80198704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正門 由久 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10173733)
千野 直一 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90051531)
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Keywords | 痙性片麻痺 / 歩行分析 / 姿勢調節 / 足底圧中心 / 短下肢装具 |
Research Abstract |
平成11年度の本研究おける足底板式足底圧分析装置を用いた歩行解析の結果に基づき、足底圧軌跡の評価を痙性片麻痺患者に対する短下肢装具処方に臨床応用することを目的として、その有用性について、下肢の関節角度変化および下腿部における加速度変化を同時に計測することによって検討した。 対象は痙性片麻痺患者15名とし、患者が通常用いている靴べら式短下肢装具(long type)と、今回各患者用に新たに作製したshort typeの靴べら式短下肢装具について、定常状態に達した歩行の立脚期における足底圧軌跡を装具の内面と外面で評価した。後者は前者の装具に比べて、支柱の高さが低いため、床に座る和式の生活には適するが、足関節の制動力が弱く、麻痺側膝関節の運動制御能力の低い患者には一般に不向きである。 痙性片麻痺患者の短下肢装具歩行における立脚期の矢状面の足底圧軌跡は、健常者のように進行方向への直線的な変位を示さなかった。その中でも7名の痙性片麻痺患者では、短下肢装具内での足底圧の踵側方向に向かう一時的な逆行が、long typeでの歩行に比べて、short typeの短下肢装具による歩行において明らかに大きくなった。これは麻痺側下肢の踵接地後、両脚支持期から麻痺側での単脚支持へ移行する際に、short typeの短下肢装具では足関節の自由度が増大し、膝関節を屈曲位に保持することが困難となることに起因するものと考えられた。その際の膝関節の急速な伸展運動は、円滑な歩行を妨げるばかりでなく、膝関節過伸展などの関節変形を招く場合もある。足底圧軌跡の計測は、歩行において最も重要な前方への推進力が適切に得られているかを評価することができ、足底板式足底圧分析装置を用いることで、平地に限らず、容易に計測することができる。以上から、短下肢装具の処方における動的な適合評価において、足底圧軌跡の解析の臨床応用が期待された。
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