2000 Fiscal Year Annual Research Report
慢性閉塞性肺疾患における呼吸リハビリテーションの新しい評価-呼吸筋の形態・分子病理学的評価
Project/Area Number |
11835039
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Research Institution | JUNTENDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
植木 純 順天堂大学, 医学部, 講師 (50203427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
家永 浩樹 順天堂大学, 医学部, 助手 (30212723)
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Keywords | COPD / 呼吸リハビリテーション / 医療チーム / MRI / 超音波 / 横隔膜 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
1.前年度に立ち上げた学際的医療チームによる外来包括的呼吸リハビリテーションプログラムを引き続き施行、計18例(年齢67±7[SD]歳、M/F 18/0)の慢性閉塞性肺疾患(COPD)症例を集積した。プログラムに関与する医療チーム構成は院内外9部門のスタッフよりなり、ディレクター、コーディネーターにより調整され情報、決定を共有化した本邦では新しいタイプのinterdisciplinary teamの形態をとった。また、今回の研究で作成したプログラム専用の患者教材を使用した。週2回6週間のプログラムにより呼吸困難感(平地歩行時100mmVAS:41±24より28±20mm)、QOL(SGRQ score:47.8±12.1より39.1±15.5)、TGV(5.99±0.93より5.64±1.06L)の有意な改善、呼吸筋力(PImax:-58±16より-71±19cmH_2O、PEmax:149±42より162±39cmH_2O)、6MWD 435±63より471±51m)の有意な増加が得られた。また、情報、決定の共有化により、医療チームが最大限に機能することも示された。 2.Dynamic MRI(Magnetic resonance imaging)を用い、リハビリテーション前後で胸壁・横隔膜の局所動態の解析を行った。coronal、右saggital planeで上部胸壁、左saggital planeでの横隔膜運動の有意な改善および各局所間の協調運動の有意な改善が示された(n=10)。高周波性超音波探触子(7.5MHz)を用いた解析では、FRCレベルでの横隔膜筋性部Zone of Apposition(ZOA)領域の厚さの不均一性を認めた。 3.分子生物学的評価では、末梢血よりDNAを採取し酸化ストレスによるミトコンドリア遺伝子上のcommon deletionの検討を試みたが、プログラム前において全例で検出不能でった。同時に施行したCOPDを含む呼吸器疾患症例(剖検例、n=26)の横隔膜を用いた検討では92%の症例で検出された。今後、リアルタイムPCR法などのより検出感度の高い方法を用いた末梢血での検討、被験者に対する負担が比較的少ないと考えられる骨格筋において横隔膜におけるDNA傷害の検出を代用することが可能であるか否かに関し検討していきたい。
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Research Products
(20 results)
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[Publications] 植木純: "COPDの包括的内科治療"呼吸. 19. 747-752 (2000)
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[Publications] 十合晋作: "Negative Expiratory Pressure(NEP)法-気管支喘息発作時における気流閉塞の非侵襲的評価-"臨床呼吸生理. 32. 15-18 (2000)
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[Publications] 家永浩樹: "CRTモニター画像による胸腔内正常構造物の読影難度に関する検討-その至適輝度比を求めて-"日呼吸会誌. 38. 373-379 (2000)
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[Publications] 児玉裕三: "約12年間経過観察し複種類(3種類)の感染をみた非結核性抗酸菌症の1例"日呼吸会誌. 38. 67-72 (2000)
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[Publications] 福地義之助: "COPDのガイドラインの国際比較"Pharma Medica. 18. 173-180 (2000)
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[Publications] 植木純: "COPDの治療ガイドライン"Prog.Med. 20. 796-800 (2000)
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[Publications] 植木純: "COPDの包括的呼吸リハビリテーション"呼と循. 49. 249-256 (2001)
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[Publications] Takahashi F: "Role of osteopontin in the pathogenesis of bleomycin-induced pulmonary fibrosis"Am J Respir Cell Biol. 24. in press (2000)
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[Publications] 植木純: "COPDの診断、管理、予防のガイドライン:GOLDによるworkshop report"Congress Report呼吸器. 20. 7-9 (2001)
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[Publications] 植木純: "タバコの体への影響"Home Oxygen Therapy. 22. 6-7 (2001)
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[Publications] 植木純: "大学病院におけるCOPDの包括的内科治療プログラム"日呼管誌. 10. 346-351 (2000)
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[Publications] 植木純: "包括的内科治療とステロイド投与"臨床検査. 44. 768-770 (2000)
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[Publications] 高橋伸宜: "COPDのステロイド療法-慢性安定期の吸入ステロイドおよび急性増悪期の全身投与に関する大規模試験"内科. 86. 199-201 (2000)
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[Publications] 植木純: "COPDの包括的内科療法"BIO Clinica . 15. 77-81 (2000)
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[Publications] 植木純: "ぜんそくとまぎらわしい病気"順天堂医学. 45. 524-527 (2000)
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[Publications] 木田厚瑞: "わが国の呼吸リハビリテーションをどのように構築するか"THE LUNG perspectives. 8. 402-412 (2000)
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[Publications] 植木純: "慢性閉塞性肺疾患診療におけるQOLの評価"臨床成人病. 31. 73-77 (2001)
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[Publications] 檀原高: "呼吸器疾患 胸部エコーの読影"中外医学社. 64-65 (2000)
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[Publications] 植木純: "新QOL調査書と評価の手引き 慢性閉塞性肺疾患"メディカルレビュー社. 347-352 (2001)
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[Publications] 植木純: "吸入療法ハンディマニュアル 疾患別吸入療法のポイント"株式会社インターサイエンス社. 3-4 (2000)