1999 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー型痴呆患者の談話能力 -家庭におけるコミュニケーション上の問題との関連から-
Project/Area Number |
11835050
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Research Institution | Hiroshima Prefectual College of Health and Welfare |
Principal Investigator |
野上 留美 (本多 留美) 広島県立保健福祉短期大学, 言語聴覚療法学科, 助手 (10290553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌倉 矩子 広島大学, 医学部, 教授 (50072997)
長谷川 純 広島県立保健福祉短期大学, 言語聴覚療法学科, 助手 (20290554)
綿森 淑子 広島県立保健福祉短期大学, 言語聴覚療法学科, 教授 (00073023)
高月 容子 兵庫県立高齢者脳機能研究センター附属病院, リハビリテーション科主任
森 悦朗 兵庫県立高齢者脳機能研究センター附属病院, 副院長兼診療部長兼神経内科部長兼臨床研究部長
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Keywords | アルツハイマー型痴呆患者 / 評価法 / 談話 |
Research Abstract |
本研究の目的は、AD患者の談話の量的・質的な評価を行い、日常生活でのコミュニケーション上の問題との関連を検討することである。このためには、AD患者の談話評価法を新たに開発する必要がある。本年度は、談話評価法開発の目的で、質的研究法手法を用いてAD患者の談話の特徴を抽出した。 対象は、ごく軽度から最重度まで重症度の異なるAD患者9名、他に、記憶障害患者、軽度失語症患者、健常高齢者、各1名。以上12名の対象者に、研究代表者が一連の談話課題(情景画を見て話す課題および手続きを説明する課題から成る)を施行し、同時に、一定の話題について会話を行なった。発話はテープレコーダにて録音した。談話課題に対する応答の部分はすべて、また、会話については、自己紹介的な話題と旅行に関する話題のそれぞれから、約5分ずつを抜粋し、分析対象とした。分析方法として、まず、分析対象となる発話を書き起こし、研究者がそれを読みながら違和感を覚えた点を記述し、研究者資料とした。一方、分析対象となる発話のテープを作業療法士3名言語聴覚士3名に音声提示し、違和感を覚えた点を自由に記述させ、これを聴取者資料とした。これら両資料を合わせたデータを類似性に基づいて分類し、AD患者の談話の特徴を抽出した。 上記の結果より、AD患者の談話の特徴として、話題が限られてくる、話題が逸れやすく、いったん逸れると戻ることが難しい、質問に対してずれた応答をする、同じ内容の話を繰り返す、などが挙げられた。重度患者では、意味内容の不明な対語遊び的な発話や数字の表出がみられた。また情景画課題においては、絵の一部についての言及が多く、手続き説明課題においては一般的な説明というより自分のことを具体的に話す場合が多かった。 以上より得られた特徴をふまえて、AD患者の談話評価法の評価項目を目下、作成中である。
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