1999 Fiscal Year Annual Research Report
雌馬卵巣に発生する顆粒膜細胞腫の卵巣と内分泌学的動態および同疾病の診断基準の確立
Project/Area Number |
11836004
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
三宅 陽一 岩手大学, 農学部・獣医学科, 教授 (20002256)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 健司 岩手大学, 農学部・獣医学科, 助手 (90302059)
|
Keywords | 雌馬 / 顆粒膜細胞腫 / 超音波画像診断 / 血中性関連ホルモン濃度 / インヒビン関連物質 / 免疫組織学的検索 / インヒビンα鎖 / インヒビンβA鎖,βB鎖 |
Research Abstract |
雌馬の顆粒膜細胞腫は,罹患した一側卵巣中に大型の血様卵胞が多数存在するが,反対側の卵巣は萎縮硬結し,繁殖機能が失われた状態が持続する疾病である.これまで罹患馬の卵巣を長期間に渡って観察し,病態を克明に記録したとする報告はない.そこで,超音波画像診断装置を活用して,繁殖季節から非繁殖季節に至る期間,経時的に顆粒膜細胞腫に罹患した雌馬の卵巣を生体観察した.その結果,繁殖季節においては罹患卵巣中に多数の血様卵胞が認められたが,非繁殖季節になると罹患卵巣は次第に縮小し,卵胞様構造物の数も減少した. さらに,臨床的に顆粒膜細胞腫と診断された雌馬3頭の罹患卵巣摘出前後の末梢血液,および摘出した罹患卵巣を入手した.これらを材料に末梢血液および腫瘍卵巣内の卵胞様構造物の内溶液中の性ホルモン濃度,とくにこれまでは報告のないインヒビン関連物質の測定を行った.また,卵巣中の卵胞の病理組織学的検索と,インヒビンα鎖,βA鎖,βB鎖の免疫組織学的検索を行った.その結果,1)罹患卵巣摘出前においては,末梢血液中の工ストラジオール-17β(E2),テストステロン(T),インヒビン関連物質の濃度は高い値で推移していることを認めた.2)罹患卵巣の摘出によって,手術直後からインヒビン関連物質の濃度は基底値以下まで急激に低下した.3)これらの結果から,雌馬の顆粒膜細胞腫の診断上,インヒビン関連物質の測定は,臨床検査に加えて,新たな診断的指標として有用であると思われた.4)腫瘍卵巣内の卵胞様構造物は,対照の正常卵胞に比べて異常に顆粒層細胞が肥厚していること,免疫組織学的にはインヒビンα鎖は検出されるが,βA鎖,βB鎖は検出されない事を認めた.
|