1999 Fiscal Year Annual Research Report
犬のリンパ腫由来培養細胞による制癌剤耐性に関する研究
Project/Area Number |
11836007
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
中市 統三 山口大学, 農学部, 助教授 (60243630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇根 智 山口大学, 農学部, 助手 (60294659)
田浦 保穂 山口大学, 農学部, 教授 (80163153)
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Keywords | イヌ / リンパ腫 / 制癌剤 / 耐性 / P糖蛋白 / MDR |
Research Abstract |
イヌリンパ腫由来培養細胞株(GL-1)、およびGL-1から誘導された制癌剤耐性株(GL-DOX60,GL-DOX300,GL-DOX4000)について、P糖蛋白の発現を抗ヒトモノクローナル抗体(C219,JSB-1)を利用してWestern Blotにより解析した。その結果、C219を一次抗体として用いた場合、GL-1には認められないバンドが耐性株で確認され、この蛋白の分子量は約180Kdであり、ヒトのP糖蛋白とよく一致した。またその発現量は耐性度がすすむのにしたがい多くなる傾向を示した。しかしながら非特異的なバンドも複数認められた。JSB-1の場合、GL-DOX4000でのみ180Kd付近にバンドが確認された。 以上のことからGL-DOX4000にはイヌのP糖蛋白が過剰発現している可能性が示唆されたために、この細胞株からtotal RNAを抽出し、MDR遺伝子の複数の種間でよく保存されている領域をプライマーとしてRT-PCRを行ったところ、1281bpのcDNAフラグメントが増幅された。このcDNAの塩基配列を決定したところ、ヒトで91%、マウスで80%、ラットで80%、ハムスターで85%と高い割合で相同性を示した。 以上の結果より、GL-1から誘導された耐性株にはイヌP糖蛋白が発現している可能性が示唆され、それをコードする遺伝子(MDR)はヒトや他の実験動物と比較的類似した塩基配列を有しているものと考えられた。今度はイヌのMDR遺伝子の全塩基配列の決定し、また抗ヒトP糖蛋白モノクローナル抗体のなかにはイヌの細胞に対して特異性が比較的低いものがあることから、抗イヌP糖蛋白モノクローナル抗体を作成していく予定である。
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