2000 Fiscal Year Annual Research Report
着床期の子宮における成長因子の発現とその生理的役割
Project/Area Number |
11836010
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
澤田 勉 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 教授 (60081600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川手 俊憲 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助手 (80221901)
玉田 尋通 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 講師 (10155252)
稲葉 俊夫 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助教授 (00137241)
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Keywords | 着床 / 子宮 / 成長因子 / EGFファミリー / EGF-R / TGF-α / 胚 / 妊娠 |
Research Abstract |
家畜を含めた哺乳類の着床機構には未だ不明な点が多い。齧歯類ではEGFファミリーに属す成長因子が着床過程で重要な役割を果たすことが示唆されている。ラットではEGFファミリーに属し強いEGF作用を持つTGF-αが着床の成立に必須である脱落膜に発現することが報告されているがその役割は明らかにされていない。本研究では、TGF-αを脱落膜を持つラットの子宮腔内へ持続注入したところ、脱落膜の発育が促進されることが明らかになった。また、子宮内膜細胞の培養液にTGF-αを添加すると、脱落膜の発育促進効果を持つプロスタグランジンE(PGE)の培養液中の濃度が上昇することが明らかになった。これらの結果は、TGF-αはPGEの産成促進を介してラット子宮の脱落膜の発育を促進することを示唆する。 これまでの研究で着床期のヒツジ子宮においてEGFファミリーに属し強いEGF作用を持つTGF-αとそのレセプターであるEGFレセブター(EGF-R)が胚や子宮内膜に分布することを免疫組織染色法を用いて明らかにした。そこで、これらの蛋白の遺伝子発現を調べるために、ヒツジ子宮内膜組織片よりRNAを抽出し、これを鋳型として逆転写酵素を用いて得られたcDNAと、ヒツジTGF-α mRNAの塩基配列を基に作成したプライマーまたはマウス、ラット、ヒト、ネコEGF-R mRNAの塩基配列を基に作成したプライマーを用いてPCRを行ったところ、期待されたサイズの増幅産物が確認された。また、これらの塩基配列を解析したところ、TGF-αではすでに報告されている配列と98.4%の相同性を示し、EGF-Rではヒト、ラットと83%、マウスと84%、ネコと89%の相同性を示した。これらの結果より、着床期のヒツジ子宮ではTGF-αとEGF-RのmRNAが発現していることが明らかになった。
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[Publications] H.Tamada,H.Sakaguchi,T.Inaba,Kawate,T.Sawada: "The effect of transforming growth factor-α on the progression of decidualization in rats."Life Sciences. (in press).