2000 Fiscal Year Annual Research Report
僧帽弁閉鎖不全症における自律神経調節と心機能予備力
Project/Area Number |
11836011
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
上地 正実 北里大学, 獣医畜学部, 講師 (90296426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天間 恭介 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (50050654)
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Keywords | 僧帽弁閉鎖不全症 / 心不全 / 自律神経 / 心筋線維化 / エピネフリン / ノルエピネフリン / 交感神経 |
Research Abstract |
本研究においては僧帽弁閉鎖不全症のモデル犬を用いて自律神経調節と心機能について検討した。昨年までに.犬の僧帽弁閉鎖不全症モデルにおける血中カテコールアミンを測定し、交感神経が活性化されていることが示され、ドブタミン(10μg/kg/min)に対する反応性について検討した結果、外因性カテコールアミンに対する心収縮力の反応性あるいは予備力が低下している可能性が示唆された。これらの結果をふまえ、僧帽弁閉鎖不全モデル犬に自律神経遮断薬を投与し、心機能とその予備力の変化について検討した。イソプロテレノール(0.025μg/kg/min)を投与しながら、プロプラノロールを0.001mg/kgから0.1mg/kgまで段階的に投与し、心拍数と左心室の収縮力の測定を行った。その結果、プロプラノロール0.001-0.04mg/kgまで心拍数の低下が認められたが、収縮力に変化を認めず、0.01mg/kg以降では心拍数とともに収縮力も低下した。犬の心臓におけるβ受容体の分布は心房にβ_1,β_2受容体が存在するが、心室筋にはβ_1受容体が主に存在していることから、犬における心拍数の調節はβ_1ならびにβ_2受容体が大きく関与しており、心収縮力に関してはβ_1受容体が関わっていることが示唆された。また、僧帽弁閉鎖不全症モデル犬に非選択性のβ遮断薬を投与すると心拍が低下するが、収縮力には大きな影響が認められなかったことから不全心における酸素消費量を低下させるためには心拍数を低下が必要であるが、β_1選択性のβ遮断薬に比較して非選択性のβ遮断薬が犬の心不全治療には適している可能性がこの研究により明らかにされた。
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