2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11837006
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 淳司 福井大学, 工学部, 助手 (70242584)
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Keywords | 動的カオス / 埋め込み次元 / ターケンスの再構成法 / ストレンジアトラクター / 国際情報交換 / カザフスタン |
Research Abstract |
本科学研究費により、これまでの研究期間においては、動的カオス、特にソフトモード乱流(Soft-Mode Turbulence : SMT)の一般的側面、及びそれに対応する分散関係、Nikolaevskii方程式におけるSMTの特殊な場合の統計的性質を明らかにしてきた。 本年度は、これまでの成果をふまえ、動的カオスの非常に特殊な例として、経済物理学、特に実際の市場価格のダイナミクスに研究の焦点をあてた。我々は、動的カオスの理論の研究において得られた知識を、この問題で現れるタイプのカオスの定量的解析に適用した。非常に多くの例を扱うことが可能であることが明らかになったが、例えばUSDとJPY、XAUとUSD、及び石油などの交換レートを特に詳細に考察した。時系列からダイナミクスに対応するストレンジアトラクターの埋め込み次元を決定し、ターケンスの再構成法により位相幾何学的構造を再構成した。これらの研究から将来の市場価格変動の予測が、これまでに得られている予測精度に比べて高精度にできるようになった。 我々のアプローチの主要な有効性は、予測期問がいわゆる予測限界の範囲内に収まっている限り、予測誤差は時間の増加に伴って増加することは無いということである。この結果は従来の予測理論における、時間の増加に伴う予測誤差の増大という一般的傾向を乗り越えるものであり、経済物理学にとどまらずこの手法が広く一般的に予測問題に有効であることが主張できる。また本研究で開発された手法は予測問題を離れても、例えばカオス的に変動する時系列におけるノイズの低減や、失われたデータの再生など違った目的のために使うことができる。
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[Publications] M.I.Tribelsky: "Hydrodynamic Waves in Regions with Smooth Loss of Convexity of Isentropes : General Phenomenological Theory"Physical Review Letters. 86. 4037-4040 (2001)
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[Publications] M.Tribelsky: "Predictability of market prices"Empirical Science of Financial Fluctuations. The Advent of Econophysics, edited by H.Takayasu (Springer, Tokyo, Berlin, etc.,). 241-249 (2001)