1999 Fiscal Year Annual Research Report
気体放電におけるマクロな局在構造の励起と集団ダイナミクス
Project/Area Number |
11837015
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
那須野 悟 九州工業大学, 工学部, 助教授 (90228073)
|
Keywords | 放電 / 局在構造 / 複雑系 / 大域結合 / 自己組織 / 擬似粒子 / 相互作用 / カオス的遍歴 |
Research Abstract |
本研究では、理想的複雑系として、準2次元的低気圧気体放電系を構築し、系統だった実験的研究を行うことによって、複雑系の多様な振る舞いとそれを生み出すメカニズムの解明を試みることにより、複雑系へのアプローチを試みる。 本年度の研究の結果、以下のことが明らかになった。 (1)グロー放電領域において、粒子的局在構造が自己組織される。粒子的局在構造の総数は、系を通過する電流の総量とともに増えていく。しかし、電極間の電位差は粒子的局在構造の総数が変化してもほほ一定のままである。 (2)粒子的局在構造は、たとえ単独であっても複雑な移動運動を示す。平均移動速度は、気圧を一定に固定した場合には、電流総量にほぼ比例して増加する。また、電流総量をあげていき系内の局在構造の総数に変化が生じると、平均移動速度は不連続に変化する。 (3)粒子的局在構造の間の相互作用は、電流総量と気圧によって、斥力的な場合と引力的な場合とがある。 (4)引力的な場合には、粒子的局在構造は集まってひとつに融合するのではなく、個々の形を保持したまま多数集まって高次の対称性を有する多様なクラスター構造を形成する。クラスター構造は、その内部構造と重心位置を複雑に変えながら時々刻々変化する。各気圧と電流総量および電極間距離に対してどのようなクラスター構造をとるのかを示す相図を完成させた。 以上のように、準2次元的低気圧気体放電系は、マクロな局在構造を自己組識化するとともに、それらの集団は複雑でありながら秩序化をなしている運動を示すことが明らかとなった。以上の結果をまとめた論文を現在投稿中である。また、現在、引き続き、電極の導電率が上記の現象にどのような影響を及ぼすのか、また、複雑な運動の起源を解明するための温度場の測定が進行中である。
|