1999 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化症の発生機序としての血管由来アルドステロンの病態性的意義
Project/Area Number |
11838004
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
宮森 勇 福井医科大学, 医学部, 教授 (40142278)
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Keywords | アルドステロン / 動脈硬化 / ステロイドホルモン / 高血圧 / 血管細胞 |
Research Abstract |
我々はこれまで血管細胞に強力な鉱質コルチコイドであるアルドステロンの産生能が存在することを証明してきた。しかし、その病態生理学的意義に関して不明の点もあった。今回の研究で、アルドステロンの産生は量的に少ないものの局所においてオートクリン。パラクリン機構として作用するには十分であり、血管平滑筋細胞に対し細胞増殖に働くことを明らかにした。即ち、血管平滑筋増殖に促進的に作用するアンジオテンシンIIに対して増強効果を有することを標識チミジンの取り込み機能で評価し、有意の増加を認めた。前回確認した鉱質コルチコイド受容体が動脈硬化巣により多く発現しているか否か検討中である。今までの所、血管細胞に発現するアルドステロン合成酵素遺伝子は、アルドステロンの生成を介して細胞内のナトリウム濃度を増加し血管収縮のみならずアンジオテンシンIIの作用増強により平滑筋細胞の増殖に係わるものと想定している。また、現在作業仮説としてはアルドステロンの非ゲノム作用が内皮細胞に対して何らかの病態生理作用を発揮しているものと推定し、in vitroで実験を遂行している。更に、我々は、血管細胞においてステロイド代謝酵素の一つである11β水酸化ステロイド脱水素酵素遺伝子が発現していることおよびその酵素活性が機能していることを見出した。このことはコルチゾールの不活性化抑制によるコルチゾールが鉱質コルチコイド受容体に結合することを意味しておりアルドステロン同様、平滑筋細胞増殖ひいては動脈硬化症に促進的に作用することを強く示唆している。
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[Publications] Y. Takeda, I. Miyamori, et al.: "Genetic analysis of aldosterone synthase in patients with idiopathic hyperaldosteronism"J Clin Endocrinol Metab. 84 5. 1633-1637 (1999)
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[Publications] H. Hatakeyama, I. Miyamori, et al.: "11beta-Hydroxysteroid dehydrogenase in cultured human vascular cells"Hypertension. 33 5. 1179-1184 (1999)
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[Publications] E. Okada, I. Miyamori, et al.: "Hiypernemocysteinemia is a risk factor for coronary arteriosclerosis in Japanese patients with type 2 diabetes"Diabetes Care. 22 3. 484-490 (1999)
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[Publications] G. Tohda, I. Miyamori, et al.: "Expression of thrombomodulin in atherosclerotic lesions and mitogenic activity of recombinant thrombomodulin in vascular smooth muscle cells"Arteioscler Thromb Vasc Biol. 18. 1861-1869 (1998)
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[Publications] Melecular Steroidogenesis: "11beta-Hydroxysteroid dehydrogenase activities in cultured human vascular smooth muscle cells"Universal Academy Press, Inc (Tokyo). 442(2) (2000)