2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11838007
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
荒井 秀典 京都大学, 医学研究科, 助手 (60232021)
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Keywords | MCP-1 / 単球 / 遊走 / 接着 / MAPキナーゼ / 情報伝達 |
Research Abstract |
単球の血管内膜への侵入は動脈硬化病変形成や炎症反応における初期段階において重要な役割を持っている。CCR2やMCP-1ノックアウトマウスの研究から、これらの分子が動脈硬化や免疫反応において主要な役割を演じていることが明らかとなった。しかしながら、単球遊走におけるMCP-1/CCR2を介した情報伝達機構の分子機構に関しては、十分に理解されているとはいいがたい。その分子機構を明らかにするため、単球系細胞株であるTHP-1細胞を用いて、チロシンキナーゼPyk2の役割を検討した。Pyk2はMCP-1により、チロシンリン酸化を受ける。また、Lyn、Shc、パキシリンもまたMCP-1により、チロシンリン酸化を受け、Pyk2とコンプレックスを形成していることが明らかとなった。しかし、MCP-1によりPyk2との結合が増加するのはLynだけであった。これらの結果よりPyk2がキー分子となってMCP-1/CCR2に由来するシグナルを下流に伝達していると考えられる。また、pyk2のドミナントネガティヴ変異体により、MCP-1によるp38MAPキナーゼの活性化は抑制されたが、同じくMAPキナーゼであるERKの活性化は抑制をうけなかった。また、我々はMCP-1によるインテグリンの活性化と細胞遊走の分子機構に関しても検討した。MCP-1を介するインテグリンの活性化はMEK阻害剤により抑制され、細胞遊走はp38MAPキナーゼの阻害剤により、抑制された。Rhoの阻害剤はMCP-1依存性の細胞遊走は抑制したが、インテグリンの活性化には影響を与えなかった。これらの結果より、ERKとp38MAPキナーゼの2つのMAPキナーゼにより細胞接着と細胞遊走が別々に制御されていることが明らかになった。
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[Publications] Ashida,N.,Arai,H.,Yamasaki.M.,and Kita,T.: "Distinct signaling pathways for MCP-1-dependent integrin activation and chemotaxis"Journal of Biological Chemistry. (in press).
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[Publications] Yamasaki,M.,Arai,H.,Ashida,N.Ishii,K.,and Kita,T.: "Monocyte chemoattractant protein-1 causes differential proline-rich tyrosine kinase 2-mediated signaling in THP-1 cells"Biochemical Journal. (in press).