1999 Fiscal Year Annual Research Report
血管平滑細胞増殖反応でのG蛋白結合型受容体刺激による成長因子受容体の共役活性化-アンジオテンシンII増殖シグナルを中心とした研究-
Project/Area Number |
11838019
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
森 泰清 関西医科大学, 医学部, 助手 (40268371)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 弘明 関西医科大学, 医学部, 助教授 (10239072)
|
Keywords | 血管平滑筋 / アンジオテンシンII / 成長因子受容体 / 共役活性化 |
Research Abstract |
(1)ラット培養血管平滑筋細胞(SMC)におけるAT1刺激によるEGF-Rリン酸化およびERK (extracellular signal regulated kinase)活性:AngII(100nmol/1)を添加し、細胞抽出液を抗リン酸化チロシン抗体で免疫沈降後、抗EGF-R抗体によりウエスタン・ブロットを行った。AngII刺激後2分後にEGF-Rの顕著なリン酸化を認めた。ERKの活性化はAngII刺激後5分で頂値に達し、刺激前の約11倍となった。これらの反応はAT1の特異的拮抗薬であるlosartan(10μmol/1)の前処理で完全に抑制された。 (2)AT1刺激によるEGF-Rリン酸化がERKの活性化に及ぼす影響 EGF-Rのチロシンリン酸化部位を欠失した変異型であるHEGFR533delのcDNAを作成し、SMCに形質導入した。形質発現が確認されたSMCではAngIIによるEGF-Rの活性化が見られなかったのみならず、ERKの活性化もほぼ完全に抑制された。 (3)AT1刺激によるEGF-Rリン酸化機構 細胞内キレート剤であるBAPTA-AM,Ca2+/カルモデリンキナーゼ阻害薬だるW7やcalmidazolium、チロシンキナーゼ阻害薬であるgenisteinやherbimycinの前処置でAngII添加によるEGF-Rのリン酸化は有意に抑制されたが、プロテインキナーゼCの阻害薬であるGF109203やcalphostin Cでは影響されなかった。 以上の実験結果よりSMCにおけるAT1によるEGF-Rのリン酸化はCa/カルモデリンを介しており、AT1のシグナル伝達機構においてERKの活性化はEGF-Rリン酸化の下流に存在する可能性が示唆された。
|