1999 Fiscal Year Annual Research Report
各種の精巣組織培養系を用いた内分泌かく乱物質のリスク評価
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11839002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
九郎丸 正道 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00148636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金井 克晃 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (30260326)
林 良博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (90092303)
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Keywords | 精巣器官培養系 / 精細管 / ラット / ビスフェノールA / 1日精子産生数 / セルトリ細胞 / 精細胞 |
Research Abstract |
生後10日齢、20日齢および35日齢の雄ラットからそれぞれ精巣を取り出し、精巣組織(精細管)の器官培養を行い、培養7日目および10日目に採材し、固定、包埋、染色後に光顕にて観察した。10日齢から採材した精巣組織では、7日目、10日目のいずれにおいても精細胞は変性して完全に消失し、精上皮は正常なセルトリ細胞のみから成り立っていた。20日齢および35日齢からの精巣組織では、7日目、10日目いずれにおいても、正常なセルトリ細胞に加え、わずかながら精細胞の残存が認められた。来年度においては、上記の実験結果を対照データとして、各種内分泌かく乱物質の精巣組織・器官培養系に対する投与試験を試み、セルトリ細胞への影響を検討する予定である。また、ラットに対する内分泌かく乱物質の経口投与実験も平行して実施した。13週齢の雄ラットに内分泌かく乱物質の1つであるビスフェノールA(200mg/kg)を投与し、18週目に解剖、精巣組織への影響を検討した。ビスフェノールA投与群では、精子発生を行っていない精細管が一部観察され、また一日精子産生数も明らかに現象していた。エストロジェンレセプターα欠損マウスでは、精巣で分泌された物質が精巣網および精巣輸出管における吸収不全を起し、精細管へ逆流することによって精子発生不全が見られるという報告があることから、ビスフェノールAによる精子発生不全の原因が精巣網におけるエストロジェンレセプターへの抗エストロジェン作用である可能性が考えられた。そこで精巣組織上で精巣網の管腔面積について形態計測を行った。しかし、対照群と投与群の間に有意差は見られず、ビスフェノールAによる精子発生不全の原因は精巣網以外にあることが示唆された。以上の内容は第127回日本獣医学会(「Bisphenol-Aの成熟ラット精巣組織および精子運動能への影響(坂上ら)」)において報告した。
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