1999 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌かく乱物質の甲状腺・副腎・性線の内分泌機能に及ぼす影響
Project/Area Number |
11839003
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
田谷 一善 東京農工大学, 農学部, 教授 (60092491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 純子 農林水産省, 農業生物資源研究所, 研究員
代田 眞理子 食品薬品安全センター, 秦野研究所, 研究員
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Keywords | 内分泌撹乱物質 / プロラクチン / 精子形成 / ラット / インヒビン / ビスフェノールA / テストステロン |
Research Abstract |
本年度は、ビスフェノールA(BFA)を成熟雄ラットに投与し、精巣機能への影響を詳細に検討した。 <方法> ウィスター系成熟雄ラットに、BFA 1mgを1日1回1週間投与し、以下の項目について検討した。(1)血中黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、プロラクチン、テストステロンおよびインヒビン濃度、(2)下垂体中LH、FSHおよびプロラクチン含有量、(3)精巣中テストステロンおよびインヒビン含有量、(4)精巣中の精子数、並びに(5)BFA投与ラットにヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)を投与して精巣からのテストステロン、エストラジオールおよびプロジェステロンの分泌反応性の検討。 <結果> 現在までに得られた結果は、以下のごとくである。(1)血中LHおよびプロラクチン濃度が、有意に上昇したがFSH濃度には差が認められなかった。(2)下垂体中LH、FSH、プロラクチンのいずれも増加する傾向を示したが有意差は認められなかった。(3)血中テストステロン濃度が低下したがインヒビン濃度は対照群と差が認められなかった。(4)精巣中テストステロン含有量は、対照群と差が認められなかったが、インヒビン含有量は低下した。(5)精巣中精子数は、有意に低下した。(6)hCG投与による精巣の反応性を調べた結果、精巣からのテストステロンとプロジェステロン分泌反応性が対照群に比べて低下した。 <考察> 本年度の研究成果から、BFAが成熟雄ラットに対して明らかな内分泌撹乱作用を有する事実が判明した。BFAの作用機構については明らかではないが、BFAがエストロジェンのリセプターに結合すると予想すると以下のような解釈が可能である。(1)BFAは、下垂体に作用してプロラクチン分泌を亢進させる。(2)精巣のライディヒ細胞に作用して、テストステロン分泌を低下させる。(3)精巣のセルトリー細胞に作用してインヒビン分泌を低下させる。その結果として造精機能を低下させる。また、(4)LHの分泌上昇は、テストステロン分泌の低下による負のフィードバック調節作用が減弱した結果と解釈される。
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