2001 Fiscal Year Annual Research Report
メダカを用いた内分泌かく乱物質モニタリングシステムの構築
Project/Area Number |
11839006
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
濱口 哲 新潟大学, 理学部, 教授 (20126444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒泉 満 新潟大学, 理学部, 教授 (40175360)
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Keywords | メダカ / 性転換 / 性分化 / 内分泌かく乱物質 / ビテロゲニン |
Research Abstract |
本研究は、野生メダカを用いて内分泌かく乱物質の影響のモニタリングを行う可能性を探るとともに、近交系メダカを用いた再現性の高い内分泌かく乱物質検定システムを開発することを目的としている。本年度は、以下のような成果を得た。 (1)性転換を指標としたエストロゲン感受性の系統差の検討 前年度に、コンジェニック系統を用い、性転換に関わるエストロゲン感受性遺伝因子がY染色体上に存在することを明らかにした。今年度は、コンジェニック系統とHd-rR系統の組み換え系統を用いて、Y染色体のどこにエストロゲン感受性因子が存在するかを検討したところ、それはY染色体の性決定領域と極めて強く連鎖していることが明らかになった。 (2)血清ビテロゲニンを指標としたエストロゲン感受性の系統差の検討 前年度、血清中のビテロゲニン産生を指標とした場合のエストロゲン感受性には系統差が認められないことを示す予備的結果を得たが、本年度改めてその結果が追認された。さらに、野生メダカの血清中ビテロゲニン含量の周年の変化を測定し、オスで外因性エストロゲンにより誘導される血清中のビテロゲニン量の評価を行う上での基礎データを得た。 (3)野生メダカの遺伝的性と表現型の関係の検討 本年度、我々のグループはメダカ性決定遺伝子の同定に成功した。それを用い、特定の近交系統のみでなく野生メダカを含め個体の遺伝的性を識別することが可能になったので、野生メダカの遺伝的性と表現型との関係について検討した。その結果、原則的には遺伝的性と表現型は一致していることが判明した。さらに、野生メダカには性決定遺伝子を含む性決定関連遺伝子の突然変異が存在することが明らかになり、野生メダカから、数系統の性決定関連突然変異系統を確立した。本システムを用いることにより、内分泌かく乱物質による性転換が野生集団で起こっているかを正確に識別することが可能になった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Matsuda Masaru: "Construction of the BAC library derived from the inbred Hd-γR strain of the teleost fish, Oryzias latipes"Genes and Genetic System. 76(1). 61-63 (2001)
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[Publications] Shinomiya Ai: "Sexual differentiation of germ cell deficient gonads in the medaka, Oryzias laptipes"Journal of Experimental Zoology. 290(4). 402-410 (2001)
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[Publications] Sato T.: "Gene-centromere mapping of medaka sex choromosomes using triploid hybrids between Oryzias latipes and O. luzonensis"Genetica. 111. 71-75 (2001)