1999 Fiscal Year Annual Research Report
ダイオキシンによるマウス雄性生殖毒性発現機構の解明
Project/Area Number |
11839015
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山下 敬介 広島大学, 医学部, 助教授 (40166666)
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Keywords | ダイオキシン / 内分泌かく乱 / 生殖毒性 / 病的発生過程 / 受容体 / 転写調節 / 精巣 / 発生学 |
Research Abstract |
ダイオキシン類は環境を汚染し,発癌プロモータ作用,免疫毒性,生殖毒性,内分泌障害作用などの毒性を持つことが知られている。特に、ダイオキシンをはじめとする外因性内分泌撹乱化学物質によりヒト精子数が減少しているのではないか、子宮内膜症が増加しているのではないかとの懸念がある。ダイオキシン類の毒性作用の多くはアリール炭化水素受容体(Aryl hydrocarbon receptor,AhR)を介して発現することが多くの状況証拠から推測されてきたが、直接証明はされていなかった。近年この受容体遺伝子のクローニングが成功し、AhR遺伝子を破壊したマウスが作製された。本研究はこのマウスを使用し、ダイオキシンによる雄性生殖毒性発現機序を、遺伝子発現から形態形成に至る過程で解明することを目的として開始した。 1.TCDDによるマウス雄性生殖毒性の記載(実験にはダイオキシン類のうち最も毒性の強いとされる2,3,7,8四塩化ジベンゾパラジオキシン,TCDDを使用した。) 1)C57BL/6Jマウス同士の交配により妊娠母体を得た。妊娠マウスにTCDDを投与し、胎生期と新生仔期暴露が仔の雄性生殖器発生・発達に及ぼす影響を評価した。妊娠14.5日(腔栓発見=0日)に、TCDDを母体体重kgあたり0(溶媒),2.5,10μgの割合で強制経口投与した。自然に分娩させ、生後4週で離乳した。仔は胎生期と新生仔期にTCDDに暴露されたことになる。生後10週で仔を屠殺し、雄性生殖器を取り出し、精巣・精巣上体の変化を評価した。評価項目として、精巣・精巣上体の組織像、細胞死の有無、・精巣上体に貯留した精子数を調べた。 10μg投与群では、出産は行われるが、新生仔は生後数日で死亡した。2.5μg投与群では、精巣組織像が異常を呈する場合もあったが、正常のままのものが見られ現在のところ、結果にばらつきが見られている。
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