2001 Fiscal Year Annual Research Report
核内ホルモンレセプターを用いた内分泌かく乱物質の人体へのリスク評価系の開発
Project/Area Number |
11839021
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
土井 陸雄 横浜市立大学, 医学部, 教授 (70091585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 三明 横浜市立大学, 医学部, 助手 (00285115)
鹿島 勇治 横浜市立大学, 医学部, 助手 (50233705)
岡部 とし子 横浜市立大学, 医学部, 講師 (20152564)
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Keywords | 甲状腺ホルモンレセプター / リポーターアッセイ / 内分泌かく乱物質 / ホルモンレスポンスエレメント / direct repeat(DR)4 / DRO |
Research Abstract |
甲状腺ホルモンレセプター(TR)は通常corepressorが結合することにより甲状腺レスポンスエレメント(TRE)を介した転写が抑制されているが、甲状腺ホルモン(T_3)がTRに結合するとcorepressorの替わりにcoactivatorがリクルートされ標的遺伝子の転写活性化を行う。今までにPCBs等の有機塩素化合物を蓄積した野生生物において甲状腺の形態異常や甲状腺ホルモン系の異常が報告されているがTRを介した内分泌撹乱物質の高感度な評価系は報告されていない。昨年までに我々はヒトTRα1を高発現したヒト子宮癌由来培養細胞であるHeLa細胞株(HeLaTR)を作成した。HeLaTR細胞にTREであるDR4を有するリポーター(ルシフェラーゼ)遺伝子を導入しT_3を48時間曝露後、ルシフェラーゼ遺伝子の発現を調べた結果、T_3の添加によりルシフェラーゼ活性が約3.5倍上昇した。しかしながらDR4の替わりにDROを有するリポーターを使用した場合にはT_3の添加による転写活性化は認められなかったことから、ルシフェラーゼ活性の上昇はTREであるDR4を介したものであることが確認された。そこでHeLaTR細胞にルシフェラーゼ遺伝子を導入しT_3の替わりに内分泌撹乱物質や重金属化合物などを添加しT_3様作用を調べた。しかしながら、ビスフェノールA、フタル酸ジエチルヘキシル、カドミウム、ヒ素、鉛、水酸化PCB、ダイオキシンいずれの化学物質によってもルシフェラーゼ活性の上昇は観察されなかった。次に、これら化合物をT_3と共に添加し(抗)T_3様作用を検討した結果、カドミウム、ヒ素、鉛、水酸化PCBの添加はT_3によるルシフェラーゼ活性の上昇を阻害したが、ビスフェノールA、フタル酸ジエチルヘキシルはT_3によるルシフェラーゼ活性に影響を及ぼさなかった。現在、HeLaTR細胞を甲状腺ホルモン様作用に対して更に高感度な細胞株とするために、甲状腺ホルモン特異的なcoactivatorであるNRIF3を高発現する細胞株を作成している。
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