1999 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌かく乱物質のマウス・魚類への発生内分泌学的影響
Project/Area Number |
11839022
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
井口 泰泉 横浜市立大学, 理学部, 教授 (90128588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 友美 横浜市立大学, 理学部, 助手 (40295506)
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Keywords | 合成女性ホルモン / ビスフェノールA / 発生影響 / エストロゲン受容体 / 形態形成遺伝子 / フシタラズ遺伝子 / 大腿骨 / 生殖器官 |
Research Abstract |
合成女性ホルモン(DES)に曝露したマウス胎仔では大腿骨の骨形成が抑制され、破骨細胞の活性が特に抑制された。妊娠15、17、19日目胎仔の大腿骨に女性ホルモン受容体(ER-α、ER-β)のmRNAが発現していたことから、女性ホルモンは直接的に骨形成へ影響を及ぼす可能性が考えられる。また、妊娠17日目のマウスに投与したビスフェノールA(BPA)は、30分後には胎盤、胎仔の血清、肝臓、脳、子宮、精巣に存在していることが確認され、BPAは胎盤を透過して胎仔の器官に到着した。母体に投与されたBPAは直接的に胎仔へ影響を及ぼすことが示唆された。胎児期のDES曝露により精巣重量、精子形成率、副精巣重量、尾部における精子数も減少した。出生直後のDES投与による雌の尿道下裂の誘導にはアポトーシスが関与し、尿道上皮細胞と膣上皮細胞がつながり尿道下裂となる。胎仔期の雄性生殖器官系に対して女性ホルモンはHoxa-9,10,11の発現量及び局在に対して影響していた。海産メダカであるマミチョグのERのクローニングにより、メダカのERと81%の相同性を持つERαを得た。ERmRNAは発生段階により発現が異なり、エストロゲン処理により初期神経胚での発現の増加が認められた。ERβに近い配列も得ている。メダカFTZ-F1遺伝子と高い相同性を持つcDNA断片を得た。脳やステロイドホルモン産生組織である卵巣、精巣で発現が認められた。
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Research Products
(39 results)
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[Publications] Yamamura et al.: "Further study of methallothionein expression in transplantble mouse mammary tumors."Anticancer Res.. (in press).
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[Publications] 井口泰泉: "環境ホルモンの生態系への影響と世界の対応"エコインダストリー. 4. 5-26 (1999)
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[Publications] 井口泰泉: "外因性内分泌撹乱化学物質 environmental endocrine disruptors."Annual Review内分泌、代謝. 51-56 (1999)
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[Publications] 井口泰泉: "環境ホルモン問題と分析化学"ぶんせき. 2. 156-160 (1999)
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[Publications] 井口泰泉: "内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)"綜合臨床. 48. 37-39 (1999)
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[Publications] 井口泰泉: "内分泌撹乱化学物質"医学のあゆみ. 188. 789-792 (1999)
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[Publications] 井口泰泉: "内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)"化学と教育. 47. 132-136 (1999)
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[Publications] 井口泰泉: "内分泌撹乱物質(環境ホルモン)の生態系への影響"日本医師会雑誌. 121. 635-638 (1999)
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[Publications] 佐藤友美,井口泰泉: "エストロゲンと内分泌撹乱物質"産科と婦人科. 66. 201-209 (1999)
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[Publications] 井口泰泉: "外因性内分泌撹乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)とは"周産期医学. 29. 393-397 (1999)
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[Publications] 井口泰泉: "内分泌かく乱物質(環境ホルモン)と生殖"産婦人科治療. 78. 375-379 (1999)
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[Publications] 井口泰泉: "環境ホルモン問題に研究者はなにができるか"科学. 69. 435-436 (1999)
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[Publications] Hirabayashi et al.: "Apoptotic cell death in artificially induced deciduoma of pseudopregnant mice."Anat. Rec.. 254. 205-213 (1999)
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[Publications] Fukazawa, Y. and T. Iguchi: "Effects of steroid hormones and growth factors on the development of the male mouse reproductive tract in vitro."Zool, Sci.. 16. 153-160 (1999)
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[Publications] Yamamura et al.: "Differences in methallothionein expression in transplantable mouse mammary tumor lines."Cancer Lett.. 138. 167-174 (1999)
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[Publications] Cunha et al.: "New approaches for estimating risk from exposure to diethylstilbestrol."Enriron. Health Perspect.. 107(Suppl.4). 625-630 (1999)
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[Publications] Hoshimoto et al.: "Elevated serum vitellogenin levels and gonadal abnormalities in wild flounder (Pleuronectes yokohamae)from Tokyo Bay"Jap. Marine Enriron. Res.. 48. 1-17 (1999)
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[Publications] Iguchi, T. and T.Sato:: "Endocrine disruption and developmental abnormalities of female reproduction."Am. Zoologist. (in press).
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[Publications] 井口泰泉: "水環境と水生動物への内分泌撹乱物質の影響"水環境学会誌. 22. 636-642 (1999)
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[Publications] 井口泰泉: "小・中学校では判断力を養う教育を"論座. 10月号. 35-36 (1999)
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[Publications] 井口泰泉: "内分泌攪乱物質(環境ホルモン)問題"医学のあゆみ. 190. 721-725 (1999)
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[Publications] 井口泰泉: "内分泌かく乱物質(環境ホルモン)の何が問題か"岡山実験初物研究会会報. 16号. 2-5 (1999)
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[Publications] 井口泰泉: "内分泌かく乱物質"最新医学. 54. 2490-2495 (1999)
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[Publications] 井口泰泉: "内分泌撹乱物質と生殖異常"内分泌・糖尿病科. 9. 577-582 (1999)
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[Publications] 井口泰泉: "身近にある恐怖「環境ホルモン」とその警告の書「奪われし未来」"English Journal. 29(4). 22-23 (1999)
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[Publications] 佐藤友美,井口泰泉: "エストロゲン受容体と環境ホルモン"現代化学. No.340. 31-36 (1999)
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[Publications] 井口泰泉: "環境と形態異常"産科と婦人科. 66. 911-917 (1999)
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[Publications] 井口泰泉: "どこまでわかった環境ホルモン"日経サイエンス. 29. 151-152 (1999)
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[Publications] 井口泰泉: "「奪われし未来」が警鐘を鳴らす現代社会の脅威-環境ホルモン"English Journal. 29(8). 14-17 (1999)
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[Publications] 井口泰泉: "ピル解禁は朗報か"正論. 8月号. 54-57 (1999)
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[Publications] 井口泰泉: "野生生物への影響の分科会の報告"日本リスク研究学会誌. 11. 32-36 (1999)
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[Publications] 井口泰泉: "内分泌撹乱科学物質(環境ホルモン)の何が問題か"日本臨床薬理学会雑誌. 12. 35-40 (1999)
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[Publications] 佐藤友美,井口泰泉: "内分泌かく乱物質によるマウス生殖器官への影響"日本臨床薬理学会雑誌. 12. 41-46 (1999)
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[Publications] 井口 他: "子どもを取り巻く環境ホルモン"芽ばえ社. 94 (1999)
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[Publications] 井口 他: "環境ホルモン"PHP研究所. 125 (1999)
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[Publications] 井口 他: "ブリタニカ国際年鑑1999年度版"TBSブリタニカ年鑑. 2 (1999)
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[Publications] 井口 他: "環境汚染と健康障害"ぱすてる書房. 160 (1999)
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[Publications] 井口 他 浦野編: "どうしたらいいいの?環境ホルモン"読売新聞社. 237 (1999)
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[Publications] 井口 他: "環境ホルモンの問題とその対策"オーム社. 10 (1999)