1999 Fiscal Year Annual Research Report
生殖における内分泌撹乱物質の毒性メカニズムに関する基礎的研究
Project/Area Number |
11839024
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
末岡 浩 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90162833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 慎一 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70276327)
大前 和幸 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (60118924)
吉村 泰典 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (10129736)
谷垣 礼子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00265852)
松田 紀子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80286541)
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Keywords | c-kit / spermatogonia / flow cytometry / W / + / W / W^v / W^v / + / maturation arrest / mouse |
Research Abstract |
c-kitは繊維芽肉腫のprotooncogeneとして発見され,正常精巣のLeidig細胞およびspermatogoniaに存在し,分化増殖への関与が示唆されている。精巣においてspermatogoniaの増殖・分化に関わり,受容体型チロシキンナーゼファミリーに属するprotooncogeneであるc-kitが,いかに精子形成に影響を及ぼすのか検討するために,ホモおよびヘテロのc-kit mutantマウスを用いてgerm cellにおけるc-kitの発現をflow cytometryで分析し,精子形成過程での障害の分化stage,とくにspermatogoniaの減数分裂機構に関わるc-kitの関与を検索した。生後10日および11週齢マウスC57black(wild type+/+),細胞膜貫通部を含む78個のアミノ酸の欠落がある突然変異のへテロW/+,790番目のアミノ酸の点突然変異のヘテロW^v/+,機能喪失性突然変異遺伝子を2個持つW/W^vを使用した。各マウスより精巣細胞を分離し,抗マウスc-kit抗体(CD117)と反応させ,flow cytometryでc-kit陽性細胞率を解析した。生後10日の幼若wild typeマウスではc-kit陽性細胞は3.8%であったのに対し,生後11週齢の性成熟マウスでは0.5%であった。また,生後10日のヘテロmutantマウスにおける抗c-kit抗体陽性細胞の比率は,W/+およびW^v/+では各々2%であり,wild typeの約2分の1と低い発現率であった。ヘテロmutantマウスでは精子形成の抑制は認められなかったが,生後10日および11週齢ともにW/W^vmutantマウスではwild typeおよびヘテロの精巣に比較し,精巣重量および精巣細胞数は有意に低下していた。しかし,生後11週齢ではc-kit陽性率は2.5%と高く,精子形成の強い抑制とmaturation arrestの状態が示された。c-kitは精子形成過程の初期段階に深く関与し,男性不妊とくにmaturation arrestの発生にかかわる因子であることが示唆された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] H.Asada: "The effects of age and abnormal sperm count on the nondisjunction of spermatozoa"Jounal of Assisted Reproduction and Genetics. 17(1)(in press). (2000)
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[Publications] 大澤淑子: "重度tapering精子優位症例における正常形態精子の膨化能の検討-ハムスター卵細胞質注入法を用いて"日本受精着床学会雑誌. 17(1). 235-237 (2000)
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[Publications] Y.Oosawa: "Assessment of the dominant abnormal form is useful for prediciting the outcome of intracytoplasmic sperm injection in the case of severe teratozoospermia"Journal of Assisted Reproduction and Genetics. 16(8). 436-442 (1999)
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[Publications] 大澤淑子: "重度tapering精子の膨化能の検討-ハムスター卵細胞質注入法を用いて"日本受精着床学会雑誌. 16(1). 152-154 (1999)
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[Publications] 岩田壮吉: "卵細胞質抽出物によるcell-free系精子核脱凝縮モデルの検討"日本受精着床学会雑誌. 15(1). 98-101 (1998)
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[Publications] 篠原雅美: "c-kit陽性spermatogoniaのフローサイトメトリー分析"日本受精着床学会雑誌. 15(1). 102-104 (1998)
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[Publications] 末岡 浩: "ARTスタッフマニュアル体外受精から顕微授精まで"医学書院. 204 (1998)
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[Publications] 末岡 浩: "新女性医学大系(全44巻) 15 不妊・不育"中山書店. 414 (1998)