2001 Fiscal Year Annual Research Report
造形による知的営みとしての「造形知」の多角的研究、美学的、芸術的、心理学的、社会学的、歴史的、情報的、工学的観点から
Project/Area Number |
11871006
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Research Institution | Seian University of Art and Design |
Principal Investigator |
小林 博道 成安造形大学, 造形学部, 教授 (80268078)
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Keywords | 造形活動 / 美術 / ロク・チトラカール / 造形知 / 西教寺真盛園 / 壁画 / 曼茶羅 / ネパール |
Research Abstract |
本研究においては、言語による知的営みや数理による知的営みに対して、造形による知的営みをとりあげ、「造形知」と仮称し、その特性・意義などについて考察した。この「造形知」は、感覚器官に直接関わるものであり、したがって、きわめて身体性に富む。そこで、私たちは、その営みにおいて身体性が重要な契機をなす日常生活における「造形知」の諸相の検討から着手した。日常生活に向けられた眼差しは、日常生活の場としての地域社会へも連なっていくが、地域社会において、「造形知」は、地域文化の形成において重要な役割を果たしていることが明らかになった(今井論文・小林論文・大原論文参照)。また、地域文化の形成の局面における「造形知」のありようと、地域文化の蓄積としての歴史的景観の局面における「造形知」のありようについて研究した。地域のなかで伝承されてきた「かたち」の蓄積は、宇宙観の表明ともなる。それゆえ、地域文化の蓄積としての歴史的景観の局面における「造形知」は、宗教活動とも連なっていくことが明らかになった(大野論文参照)。さらに、こうした研究成果にもとづき、美学・芸術学・教育学・心理学・社会学・歴史学・情報学・工学などの観点から、個別の研究が進められた。日本手話における造形性(島先論文)、心理療法における造形性(山論文)、造形の知覚における歴史性(千速論文)、デジタル・メディアにおける造形性(千速論文)などについて、新知見が得られた。
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[Publications] 今井 祝雄: "「造形知」の実践的展開:老人施設の壁画づくり"造形による知的営みとしての「造形知」の多角的研究. 8-13 (2002)
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[Publications] 大野 俊明: "ネパールのタンカ(曼陀羅)および砂曼陀羅"造形による知的営みとしての「造形知」の多角的研究. 14-17 (2002)
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[Publications] 小林 はくどう: "造形知と自己実現の循環:身辺と心象表現:佐渡版画村をたずねて"造形による知的営みとしての「造形知」の多角的研究. 75-92 (2002)
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[Publications] 小林 はくどう: "造形知と自己実現の循環:造形知を市民ビデオに探る"造形による知的営みとしての「造形知」の多角的研究. 93-118 (2002)
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[Publications] 島先 京一: "異文化言語と造形知:聴者にとっての日本手話"造形による知的営みとしての「造形知」の多角的研究. 21-41 (2002)
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[Publications] 千速 敏男: "知覚の歴史性とそのパラダイム:パノフスキーの方法論から出発して"造形による知的営みとしての「造形知」の多角的研究. 42-49 (2002)
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[Publications] 千速 敏男: "デジタル・メディアによる空間上の共振として「アウラ」"造形による知的営みとしての「造形知」の多角的研究. 50-54 (2002)
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[Publications] 山本 和人: "造形知再考"造形による知的営みとしての「造形知」の多角的研究. 18-20 (2002)
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[Publications] 今井 祝雄: "パブリックアートと都市の記憶"まちなみ. 第25 No284. 24-27 (2001)
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[Publications] 大野 俊明: "29年間の模写作業"文芸春秋. 第79 No9. 88-90 (2001)
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[Publications] 千速 敏男: "メディア空間上の共振としての「アウラ」"「今日的絵画鑑賞法」展カタログ(京都芸術センター). 4-4 (2001)
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[Publications] 山 愛美: "造形と心理療法.魂と心の知の探求"心理臨床学と精神医学の間. 208-214 (2001)
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[Publications] 木村 至宏: "琵琶湖:その呼称の由来"サンライズ出版. 190 (2001)
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[Publications] 小林 はくどう: "佐渡版画村に造形知を探る"小林 はくどう. 30 (2001)