2001 Fiscal Year Annual Research Report
トランス・カルチュラル・エステティックス ―アジアを視点として
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11871007
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
岡林 洋 同志社大学, 文学部, 助教授 (80185462)
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Keywords | トランス・カルチャー / 美学 / W.ヴェルシュ / 倫理学 / 和辻哲郎 / 日本ばなれ / 宝塚歌劇 / 川俣正 |
Research Abstract |
本研究「トランス・カルチュラル・エステティックス(越境文化主義の美学)」の実績は以下の通り。 1)原理論的な実績 著作2点(既に出版されたものと、出版の予定されているものとが各1点)-前者(共著書)は、現代ドイツのこの分野の研究の第一人者、ヴェルシュの美学と越境文化哲学を取り上げ、それを本研究のテーマの準備段階あるいは先行的な研究として一応の学術的な評価を与えたが、とりわけ異文化の美学を構想するにあたって、そこに関与する倫理学の位置づけ方がポイントになることを指摘している。 後者(単著『美楽』)は、ドイツでの先行研究に対して、美楽(ビラク)という独自の視点を、本テーマの中に確立する試みをおこなった。この中では、異文化の美学を、近世近代の孤立した個人意識を越える「倫(なかま)」の意識に基づけた和辻哲郎の『倫理学』の考え方を取り入れながら構想した。しかも本研究は現代風の単なる異文化コミュニケーション論とはまったく別の美学的分野の中にある。 2)特にアジアが研究の視点となった事例的な実績 論文2点-本テーマが、文化の短絡的あるいは単楽的な、らしさ文化との対決であると捉えられた論文「日本ばなれ文化の楽しみ方」で、宝塚劇団を取り上げた。もう一つ他に基本的に新聞紙リサイクルという環境技術の移転問題をアーティスト(川俣正)の視点で扱った論文「アートと関連した新聞紙リサイクルと環境」)がある。 著作(発表予定)1点-出版予定の著作(編著)には、『川俣正のオールタナティヴ・アート』がある。発表2件-マレーシアと韓国では「アートと関連した新聞紙リサイクルと環境」を外国語原稿にして英語とハングルで研究発表した。
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[Publications] 岡林洋: "日本ばなれ文化の楽しみ方-文化の短絡的(単楽的)楽しみ方を越える"社会科学. 68号. 1-34 (2002)
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[Publications] 岡林洋: "News Paper Recycling in the Context of Art and the Environment"SYMPOSIUM/RESEARCH MEETING ON ENVIRONMENTAL ETHICS, REGULATIONS AND EDUCATION 2002. 1-10 (2002)
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[Publications] 岡林洋: "文化主義の美学-ヴェルシュAESTHET/HICSを手がかりに"勁草書房『美と芸術のシュンポシオン』大阪大学美学研究会編(共著書・総ページ348). 151-159 (2002)
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[Publications] 岡林洋: "美楽BIRAKU-美を楽しめない人に贈る美のガイドブック(近刊)"丸善出版事業部. 265 (2002)
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[Publications] 岡林洋: "川俣正のオールタナティヴ・アート(近刊)"美術出版社. 240 (2002)