2000 Fiscal Year Annual Research Report
自作の物語及び歌を媒体とした日本人児童の情動表現について
Project/Area Number |
11871020
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
安達 真由美 山梨大学, 教育人間科学部, 助教授 (30301823)
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Keywords | 情動 / 歌 / 物語 / 児童 / 発達 / 表現 |
Research Abstract |
本研究課題の2年目にあたる今年度は、まず昨年度より継続していた小学校1年生からの「楽しい」あるいは「悲しい」物語と歌の採集を完了し、それらの書き起こし、物語と歌詞データのコード化を行った。次に、小学校1・4・6年生の物語と歌に見られる言語表現に関し、「物語のタイプ(既成の物語・身近に起こった出来事・自作の物語)」「歌詞のタイプ(既成の歌・替え歌・自作の歌)」、「肯定的情動表現の有無」「否定的情動表現の有無」「肯定的出来事の有無」「否定的出来事の有無」「開始時の情動的内容(悲しい・不明・楽しい)」「終結時の情動的内容(悲しい・不明・楽しい)」の観点から、文脈・学年・性別の3要因について統計的分析を行い、その結果を「日本人児童の情動表現-物語と歌詞の内容から-」という題目で、「日本音楽知覚認知学会平成12年度秋季研究発表会」にて報告した。この内容分析で特に興味深かったことは、各学年において採集した歌詞の約3割以上が「既成の歌」であり、1年生に関してはその割合が7割にものぼる点である。「既成の歌」を「楽しい」あるいは「悲しい」気持ちの表現媒体とすることは、先行研究でのカナダ人児童の場合にも見られたが、その割合は各年齢グループとも2割程度であった。小学校1年生における日加間の「既成の歌」の割合の違いに関しては、日本の幼児教育機関における歌唱表現指導との関連性が考えられるため、現在その点に関する調査の準備を行っている。一方、小学生の物語・歌に関する音声的・音楽的表現の分析は、それらの音響ファイルを使った知覚実験を元に行っている最中である。
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