2000 Fiscal Year Annual Research Report
現代イギリスにおける「学校から職業への移行」に対する職業教育・訓練政策の影響
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11871042
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Research Institution | Osaka Seikei College |
Principal Investigator |
佐野 正彦 大阪成蹊女子短期大学, 児童教育学科, 教授 (00202101)
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Keywords | 労働市場 / 学校から職業への移行 / イギリス / 職業教育 / 職業訓練 / 市場原理 / 後期中等教育 |
Research Abstract |
本年度は、1990年代のイギリスの義務教育後(16-18歳:後期中等段階)の教育・訓練政策の具体的展開とその現実への影響について究明した。 イギリスでは1980年代より職業教育・訓練政策を中心としたマンパワー政策の重要性が急浮上した。サッチャー保守党政権は、政権発足当初、こうした政策課題実現のために、当初は強力な中央集権的国家介入によって推し進めようとしたが、必ずしも十分な成果をあげ得なかった。そこで政府は90年代前後より、政策実施の手法を中央集権型から地方分権型へ、また国家介入主義から民営化など市場原理の導入による教育・訓練の再編へと、いわゆる新保守主義的な手法から心中主義的な手法へと転換した。 イギリスの後期中等段階の教育・訓練は、大きく中等学校、継続教育、職業訓練という3つのセクターから成り立っているが、いずれの分野も自由競争と市場原理を梃子とした再編が進められ。中等学校を除く他の2つのセクターを行政機関の管理から離脱させ民営化するとともに、それぞれの教育・訓練機関の実績にもとづき補助金を配分する財政制度の創出が、政策実現の中軸的手段に据えられた。本年度の研究では、この財政制度の仕組みとともに、各種の統計資料・調査をベースにその現実の教育・訓練への影響、特に、(1)教育訓練の質の向上、(2)機会均等(不利な立場に置かれた若者の参加拡大)、(3)国家やコミュニティーの労働市場の需要への応答性に関わって、意義と問題点を明らかにした。
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Research Products
(1 results)