1999 Fiscal Year Annual Research Report
東北アジア先住民文化に関するミュージアムの民族展示における評価研究
Project/Area Number |
11871049
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 亨 東北大学, 東北アジア研究センター, 助教授 (80292308)
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Keywords | ミュージアム / 民族展示 / 評価 / 先住民文化 / 東北アジア地域 / 博物館学 / 博物館民族学 |
Research Abstract |
1 事業評価・行政評価についての事例研究 マッキンゼー日本支社など民間シンクタンクが収集・蓄積している、民間企業や全国の都道府県・市町村が実施している事業評価・行政評価に関する資料から、その考え方や手法、成果などを調査した。 2 博物館における民族展示についての情報収集および写真撮影 国立民族学博物館(大阪府)、板橋区立郷土資料館(東京都)などにおいて、アイヌなど東北アジア先住民資料の展示手法を写真撮影し、担当者などから展示意図をヒアリングした。評価調査を実施した北海道開拓記念館においては(詳細は3)、担当学芸員から観覧者に伝達したかった内容やそのためにどのような展示構成・手法を選択したかを、ヒアリングと展示シナリオのチェックを通して調査した(展示属性調査)。 3 ミュージアムにおける評価調査(北海道開拓記念館) (1)総括的調査:アイヌ展示においてどのような人が展示を見たか、観覧者が新たに知ったことは何か、意図通りに情報が伝わったかを知るために、観覧者の基本的属性、動線・観覧時間を調べ、再認テストを実施。 (2)観覧者間の会話採取調査:展示を通した博物館から観覧者への情報伝達以外の展示の価値を測る試みをした。今年度は2人以上のグループ間で発生する会話に注目し、民族展示が与えるインパクトを観察。 4 研究成果など (1)評価事例研究から、既存の評価はミュージアムの特殊性を考慮した上で、応用できると考える。 (2)開拓記念館における民族展示の情報伝達度が極めて低いことが分かる。一方、会話採取により観覧者間で創り出される情報の重要性が判明する。これに関連し、会話採取調査のガイドラインの必要性を痛感し、今後提案したいと考える。次年度は、情報伝達以外に考えられる展示の価値をさらに多角的に調査したい。
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