1999 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアを中心とした食文化伝播・交流史研究の基盤整備
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11871054
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
桃木 厚子 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 助教授 (80311710)
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Keywords | 東南アジア史 / 食文化史 / 交流文化史 / アチャール / サンバル |
Research Abstract |
文献検索については、本年度は和文のアジア食文化史関係書籍について、中部地方の諸大学・研究機関に所蔵されているものをデータベース検索を通じてリストアップした。その結果、このテーマの書籍は中部地方では愛知淑徳大学、愛知教育大学に多く所蔵されていることが判明した。ただし雇い上げ可能な研究協力者が限られていたため、各大学・研究機関の図書館に出向きカードを繰る作業は行えず、あくまでデータベース検索に限った判断である。来年度は主に欧文の文献検索を行う予定である。 食文化交流史の研究については、現在のところ以下の作業仮説が表示可能である。インドの漬物は、漬物を意味するアチャールという言葉とともに、東は日本、西はアフリカまで伝播している。 アチャールという言葉、及びそれが指し示す料理の内容を南・東南・東アジアの各国・地域で比較すると、インド洋(あるいはベンガル湾)料理文化圏、東・南シナ海料理文化圏、そして両者が交わる海域がマレー半島・スマトラ島・ジャワ島付近であるという構図が描ける。この構図は東南アジア地域研究における、フロンティア社会論、とくに東南アジア社会の特質を異界交差(インターフェイス)の場とする議論を補強する。 またアジア経済史において未だ明らかにされていないベンガル湾・南シナ海交易圏のオーバーラップ海域の有無に示唆を与えるものとなる。 この構図は、サンバル(sambal:料理あるいは調味料名)でも同様のものが描けると推測されるので、次年度はサンバルの資料収集、比較を行う予定である。
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