1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11874020
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小川 知之 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教授 (80211811)
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Keywords | 近可積分系 / 周期進行波 / 振幅変調 / ホップ分岐 |
Research Abstract |
近可積分系に現れる周期解の安定性及び分岐解析を行った。近可積分系とは、ここでは、Kd V方程式などの保存系が粘性などの効果により散逸的な摂動、さらに何らかの不安定な摂動も併せ持つ場合を意味することとする。勾配を持つ斜面を流れる粘性流体の波面の時間発展(いわゆる液膜流)の問題から得られたベニー方程式はKd V方程式に散逸・不安定性の摂動を加えたものであり、近年、数値計算のみならず解析的な結果も得られてきている。本研究では特にベニー方程式を分岐論的に捉えるために一般化しそこでの周期進行波解の安定性解析を半解析的・半数値的に行った。一般に周期解の固有値問題には連続スペクトルが現れ、それを数値計算により求めるのは無謀である。ここでは可積分系をしてKd V方程式の周期進行波解の固有関数が厳密に表示できることを利用し、その摂動として捉えるという方法論をさらに推し進めた。摂動計算から決まるある種の量を最終的に数値計算することにより各波数のスペクトルを決定でき、特に、周期解が分岐して現れる直後ではすべての周期解が不安定であるという結論を得た。これは現在"Instability of the bifurcated periodic waves to a nearly-integrable system"としてとりまとめ中である。一方、分岐直後の周期波がすべて不安定となると、何が安定に現れるかが自然な疑問であろう。これに対しては、2つの異なる波数の周期解が同時に分岐する点の近傍に標準形理論を適用し、2つの波数の波の和で近似される波がホップ分岐により現れることを明らかにした。この新たな波の安定性も同時に理解され、これは数値計算で現れる振幅変調波に対応する。これは現在"Periodic travelling waves and their modulation"としてとりまとめ中である。こうした現象は非線形波動に現れる周期解の分岐としてある種の普遍性があるのではないかと期待している。
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