1999 Fiscal Year Annual Research Report
大域分岐解析及び特異極限法によるパターン選択原理の解明
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11874032
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西浦 康政 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (00131277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上山 大信 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20304389)
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Keywords | 時空間カオス / 反応拡散系 / 大域分岐 / 自己複製解 |
Research Abstract |
今年度の成果について最も進展があった次の課題について報告する。 ・大域分岐解析によるパターン選択機構および時空間カオスの解明 90年代はじめに、非平衡化学反応系において、はじめて流体力学的効果を排除して、反応と拡散のみによりパターンが生じることが実験的に示され、これが起爆剤となり、それまで予想だにしなかった多くのダイナミックなパターンが実験室、そして計算機シミュレーションによって発見された。典型的モデルとしてはGray-Scott系がある。それは定常解、進行パルス解、自己複製解、時空間カオス等、様々なダイナミクスを提示するが、それらのパターン間の転移の数学的機構についてはほとんど知られていなかった。AUTOによる大域分岐解析により、それらの解の枝の大域的な相互関係がパターン選択機構や時空カオスの発生を理解する上で決定的であることが解明された。これはいわば無限次元空間における大域的な分岐解の幾何学の端緒ともなるべきものといえる。一言でいえば、それぞれのパターン解の枝のサドル・ノード点と定数状態の安定性およびそれらの間の不安定多様体のつながりがダイナミクスを決めている。注意すべきは選んだパラメータの値のところの相空間の構造のみの解析では不十分であり、すべての枝の大域的な相互関係をみなければいけない点である。これにより例えば、時空カオスの発生点は定常解の枝の最小サドル・ノード点の位置と定数解のHopf分岐点の位置が一致するという関係で決まる。この判定法と発展方程式を解いて調べた発生点とは極めてよく一致するという関係で決まる。この判定法と発展方程式を解いて調べた発生点とは極めてよく一致する。これらの知見は今後、定性的な数学理論を構成していく上で基本となる。 技術的には大域的な枝の追跡を偏微分方程式系で具体的に実施することは極めて困難な作業であるが、定常解については現在百変数程度までは可能である。しかし周期解や進行波解については偏微分方程式の解の枝を十分近似しているというには、まだ不十分であり、今後の課題して残っている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Nishiura: "A skeleton structure of self-replicating dynamics"Physica D. 130. 73-104 (1999)
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[Publications] Y.Nishiura: "A new criterion for the onset of spatio-temporal chaos in the Gray- Scott model"GAKUTO International Series, Mathematical Sciences and Applications.