1999 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導トンネル接合素子を用いた可視光1光子分光検出器の基礎開発
Project/Area Number |
11874035
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大谷 知行 理化学研究所, 研究基盤ツール開発推進グループ, 研究協力員(研究職) (50281663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥 隆之 理化学研究所, 情報基盤研究部・イメージ情報技術開発室, 基礎科学特別研究員 (10301748)
佐藤 広海 理化学研究所, 情報基盤研究部・イメージ情報技術開発室, 基礎科学特別研究員 (20300874)
清水 裕彦 理化学研究所, 情報基盤研究部・イメージ情報技術開発室, 研究員 (50249900)
滝澤 慶之 理化学研究所, 情報基盤研究部・イメージ情報技術開発室, 基礎科学特別研究員 (70312246)
渡辺 博 理化学研究所, 計算科学研究室, 協力研究員
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Keywords | 超伝導トンネル接合素子 / 検出器 / 可視光 / 1光子分光 |
Research Abstract |
平成11年度は素子の設計・試作と読み出しシステムの開発を行った。 素子の試作では、理化学研究所内のSTJ作製専用プロセスラインを用いて可視光検出に用いることのできるSTJの試作を行った。まず、Si基板およびサファイヤ基板の上にA1_2O_3をスパッタ法で成膜し、その上にNb/A1/AlOx/Al/NbやNb/Ta/Al/AlOx/A1/Nb/Ta/Nbといった膜をスパッタ法で積層してSTJ素子を作製した。特に、STJの側面を酸素プラズマで酸化する方法を新たに開発することによって、トンネル障壁における漏れ電流を劇的に減少させることができた。これらの素子をHe3クライオスタットを用いて0.35Kまで冷却し、電流-電圧特性を測定してトンネル障壁の評価を行った。その結果、バイアス電圧0.2mVにおける漏れ電流が、0.5nA(20×20μm^2素子)、1.2nA(100×100μm^2素子)という極めて小さい値を実現できていることが確認された。また、トンネル障壁のクオリティに高い感度を有するX線特性評価を行い、これらの素子がSTJ素子を用いたX線検出素子としては、現状での世界最高レベルに匹敵する性能を有していることを確認した。 また、STJに生じる微量電荷を効率的に読み出すシステムの開発のために、常温電荷有感型プリアンプを用いて計測システムの低雑音化をはかった。その後、電界効果トランジスタ(FET)を用いて、77Kで動作する低雑音の電荷有感型専用プリアンプの設計・製作を行い、常温プリアンプを上回る性能が得られることを確認した。また、平行して超伝導量子干渉素子(SQUID)を用いた低温プリアンプの開発も行った。このプリアンプの性能は現状では電荷有感型プリアンプに及ばないものの、安定して動作することが確認され、今後の開発の基礎を確立できた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] W.Ootani,T.Ikeda,H.Kato,K.Kawai,H.Miyasaka,T.Oku,C.Otani,H.Sato,H.M.Shimizu,Y.Takizawa,H.Watanabe他4名: "Development of X-ray Detectors Based on Nb/Al/AlOx/Al/Nb Superconducting Tunnel Junctions"Nuclear Instruments & Methods in Physics Research Section A. (出版中). (2000)
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[Publications] T.Oku,T.Ikeda,H.Kato,K.Kawai,H.Miyasaka,W.Ootani,C.Otani,H.Sato,H.M.Shimizu,Y.Takizawa,H.Watanabe他4名: "High Resolution X-ray Detectors Based on Superconducting Tunnsl Junctions with SQUID Readout"Nuclear Instruments & Methods in Physics Research Section A. (出版中). (2000)
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[Publications] H.Sato,T.Ikeda,H.Kato,K.Kawai,H.Miyasaka,T.Oku,W.Ootani,C.Otani,H.M.Shimizu,Y.Takizawa,H.Watanabe他4名: "Development of Superconducting Tunnel Junctions with Al Trapping Layers for X-ray Detectors"Proceedings of 4th European Conference on Applied Superconductivity. (出版中). (2000)
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[Publications] T.Ikeda,H.Kato,K.Kawai,H.Miyasaka,T.Oku,W.Ootani,C.Otani,H.Sato,H.M.Shimizu,Y.Takizawa,H.Watanabe他4名: "A Compact High-Resolution X-ray Detector System Using STJ and a SQUID Amplifier"Proceedings of 4th European Conference on Applied Superconductivity. (出版中). (2000)
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[Publications] C.Otani,T.Ikeda,H.Kato,K.Kawai,H.Miyasaka,T.Oku,W.Ootani,H.Sato,H.M.Shimizu,Y.Takizawa,H.Watanabe他4名: "Properties of Substrate Phonon Events in Superconducting Tunnel Junctions Induced by X-ray Absorption"Japanese Journal of Applied Physics. (出版中). (2000)