1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11874054
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
八木 駿郎 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (30002132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠原 勝 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (30001697)
辻見 裕史 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (20113673)
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Keywords | 量子ゆらぎ / 量子常誘電体 / 量子強誘電体 / SrTiO_3 / 同位体効果 / コヒーレント量子状態 / Quantum-para / Quantum-ferro |
Research Abstract |
量子常誘電体としての代表物質であるペロフスカイト酸化物SrTiO_3は、量子ゆらぎによる秩序変数出現の抑制により誘電率は温度降下とともに10数Kの低温領域から誘電率の発散的増大を示しつつも発散にいたらず相転移が生じない。本年度では本研究課題の研究開始直後に、SrTiO_3の酸素原子を通常の原子量16のO^<16>から原子量18のO^<18>の同位元素に置換した結晶(以下でSTO-18と略す)において強誘電性が出現することが東工大の伊藤らのグループにより発見されたので、本来の研究目的である「超短光パルスによる量子ゆらぎの制御」に取りかかる前に、この興味深い現象の解明が重要であると考え、発見者のグループに資料の提供を依頼し、急遽STO-18の光散乱実験を行った。従来本研究グループは高分解能ブリルアン散乱を用いて無置換SrTiO_3の量子凝縮相における新しい励起状態を示すとされていたいわゆるダブレットスペクトルの研究を続けてきた。従って、同位体効果としてのSTO-18の強誘電性発現は、そのダブレットスペクトルの解明、量子コヒーレント相の実体解明にもつながる重要なものと認識出来た。したがって本来超短レーザーパルスを用いてコヒーレントフォノン励起を観測する計画であったが、それに先んじて急遽高広帯域高分解能ブリルアン散乱と高分解能ラマン散乱を行った。その結果、現在までに強誘電性ばかりでなく強弾性的振る舞いを示すスペクトルの温度依存性を発見した。これに加えて、新しいセントラルピークも見いだされ、同位元素置換されたSTO-18は多彩な転移ダイナミクスを示すことが明らかになった。これらの成果は、量子ゆらぎのコヒーレント励起状態の解明に有力な手がかりを与える。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] S.Yoshioka: "The B_2 Polariton Mode in KDP Studied by Impulsive Stimula・・・"Journal of the Physical Society of Japan. 67・7. 2178-2181 (1998)
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[Publications] S.Yoshioka: "A single exponential time decay of the ferroelectric mode・・・"Solid State Commun.. 106・9. 577-580 (1998)
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[Publications] Y.Tsujimi: "Anisotropic Thermal Relaxation Dynamics in TGS ・・・"Journal of the Physical Society of Japan. 67・5. 1509-1512 (1998)
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[Publications] T.Watanuki: "Polariton dispersion of LiNbO_3 studied by Hetro ・・・"Journal of Korean Physical Society. 35. 1400-1403 (1999)
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[Publications] M.Kobayashi: "Time-resolved spectroscopic study of characteris ・・・"Journal of Korean Physical Society. 35. 1331-1334 (1999)
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[Publications] Y.Tsujimi: "Physical origin of the dynamical central ・・・"Physical Review B. 59・1. 28-31 (1999)