2000 Fiscal Year Annual Research Report
Half-Cycleパルスによる原子状態の時間発展と操作に関する研究
Project/Area Number |
11874056
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
渡辺 信一 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (60210902)
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Keywords | Siegert擬状態 / 周期的Half-Cycleパルス / 原子操作 / 量子系の時間発展 / 量子古典対応 / 無反射境界条件、無反射波 |
Research Abstract |
Siegert擬状態を用いて生成した無反射波を基底にとり、時間発展用のカーネル構築を系統的に行う手法を数学的に整備した。とりわけ、量子力学的効果と古典力学的効果が極めてよく一致する領域の現象と、波動性による波束の広がりに起因する反古典的な現象を明らかにした。また、その結論の信頼性を確認する目的と同時にSiegert擬状態による方法の収束性を吟味するためにmasking法も実行して、双方の結果の比較より、Siegert擬状態法の優位さを示した。有意な結果と判断して学術誌に投稿し、掲載されることになった。この調和振動子による模型は、本来目的とする実在原子の操作に関する研究を簡便化して、周期的キックによる励起とイオン化の物理学を築く上で有用であるが、さらに現実の磁気光学トラップ中での孤立原子(あるいは弱相互作用多原子系)の量子論的運動を考察する上でも有用と考え、研究を継続している。現在、この系は単一の周波数を持っているため、カオス的な領域においても安定周期軌道と不安定非周期軌道が明確に区別されること。そして、またこの事実から古典的な励起が単純な拡散にならないこと。一方で、量子力学的にはトンネル効果によって非拡散的に励起が進行することなどが、わかりつつあり、詳細を究明中である。 磁気光学トラップ中での原子の運動との関わりで、超球座標法をこれまで不可能とされていた多体系へ拡張できる可能性がわかってきた。これはBEC(ボーズ・アインスタイン凝縮)の問題にも絡み興味深いので、並行して考察中である。なお、この点に関わる初期の進展を小論文に添えて発表した。 Siegert擬状態が実在の原子+周期的なhalf-cycleパルスの問題に応用できることを早々に示す必要がある。現在その準備的計算を行っている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] S.Tanabe,S.Watanabe et al: "Siegert-Pseudostate Representation of Quantum Time-Evolution : A Harmonic Oscillator Kicked by Periodic Pulses"Physical Review A. May(未定). (2001)
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[Publications] S.Watanabe: "Antiprotonic Helium and the Hyperspherical Elliptic Coordinates"Physics Essays. 13巻2&3号(未定). (2001)