1999 Fiscal Year Annual Research Report
大気中の雲活動による地球自由振動常時励起の定量的見積もり
Project/Area Number |
11874062
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中島 健介 九州大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10192668)
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Keywords | 地球自由振動 / 積雲対流 / infrasound / 大気 / 音波 |
Research Abstract |
1.積雲の量子化雑音による励起振幅の定性的見積り 地球自由振動を励起するために必要な積雲活動の時間的空間的ゆらぎについて理論的に考察した。結果は以下の通りである。大気の熱収支から,地球の総降水量は50,000,000,000[Kg/s]程度である。この雨がまんべん無く降るのではなく,「積雲」(一つあたりの降水能率は100,000[Kg/s])という単位として「量子化」されるとすると,雲の個数は平均値(100,000)の周りに700個程度の統計的揺らぎをもつ。さらに個々の雲の時間発展特性も考慮すると,このゆらぎによって,観測される程度の地球自由振動を励起する可能性が十分あることが確認できた。 2.現実的大気構造を考慮した大気応答の特性 地球自由振動に対応する周波数帯での大気の応答特性を,現実的な消散過程を含む二次元圧縮性線形モデルを用いて考察した結果,音波遮断周波数の近傍などに準共鳴的な応答のピークが存在することがわかった。なお,これらはleaky modeであり,有限の幅を持つ。 3.大気構造の日変化の影響 上の準共鳴的ピークの振動数は,大気構造の日変化の影響によって0.05mHz程度ずれることがわかった。この大きさは固体地球振動モードの周波数間隔の半分程度であり,海陸分布の影響で積雲活動の日変化がことなることと組み合わせて,最近確認されてきた常時自由振動の季節変化を説明し得る可能性がある。
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