2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11874065
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
島倉 信 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (00009721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鷹野 敏明 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (40183058)
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Keywords | 地震関連電磁気現象 / 電離層擾乱 / VLF帯電磁波 / VHF帯電磁波 / FM放送電波 / 電波伝搬異常 / 地震直前現象 / 地震予知 |
Research Abstract |
1995年に発生した兵庫県南部地震では、多くの人命・財産が失われ、地震予知の重要性を改めて我々に示した。過去数十年で地震観測網が整備され、地震発生機構の研究も格段に進歩し、数年より長い長中期的な地震予知は進歩が得られつつあるといえるが、人々が有効に備えられるような数日のスケールでの地震予知は実現していない。一方最近、地震発生前後に電離層に異常が発生するらしいことが広い周波数範囲での電磁波観測で明らかになってきた。しかしこれまでの観測はまだ例が極めて少ない上、観測条件が充分整備されておらず、科学的に解析し評価するには未だ不充分なデータと言わざるを得なかった。 このような背景から我々は、下部電離層の擾乱と地震との関係を解明するための信頼できるデータを定常的に出すことが、現時点で最も重要であると考えた。その上で初めて地震に伴う電離層擾乱や電磁波放射の有無とその有用性について、科学的な検討が可能になる。 2000(平成12)年度は、1999年度に千葉県館山市で開始したVLF(Very Low Frequency=3-30kHz)帯とVHF(Very High Frequency=30-300MHz)帯電波の観測を継続するとともに、装置の改良等を行った。その結果、VHF FM局電波の観測では、受信レベルの変動強度の強さが増すとともに地震発生率が上昇することがわかり(坂井他:FM放送波の伝搬異常と地震に関する基礎研究)、VHF自然雑音電波の観測では、西向きの指向性を持つアンテナにより関西地方で発生した地震の前兆信号と考えられる信号が観測された(山田他:千葉大学における地震関連VHF電磁波観測)。また、VLF/ELF帯における観測に関する解析シミュレーションを行い、ノイズ除去や観測結果の解析法等についての検討を行った(酒井他:大地・電離層間伝搬効果を考慮したELF/VLF波動の到来方位推定;林他:VLF帯電磁波観測における適応フィルタを用いた電力線雑音の除去法;他)。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 坂井来人: "FM放送電波の伝搬異常と地震前兆に関する基礎研究 "大気電気研究. 57. 42-43 (2000)
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[Publications] 山田篤: "VHF帯電磁波自然雑音と地震との関連調査"大気電気研究. 57. 44-45 (2000)
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[Publications] 酒井智弥: "ELF/VLF波動分布関数推定法のフルウェーブ解析による考察"大気電気研究. 57. 47-48 (2000)
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[Publications] 宇治川智: "磁気共役点におけるVLF局電波の到来方位推定"大気電気研究. 57. 49-50 (2000)
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[Publications] 林憲孝: "VLF帯電磁波観測における適応フィルタを用いた電力線雑音の除去法"大気電気研究. 57. 51-51 (2000)
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[Publications] 酒井智弥: "大地・電離層間伝搬効果を考慮したELF/VLF波動の到来方位推定"電子情報通信学会論文誌B. Vol.J84-B No.2. 226-233 (2001)