1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11874075
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小中 重弘 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50000849)
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Keywords | 光散乱 / 液晶構造 / 液晶秩序 / 秩序回復過程 |
Research Abstract |
3種類のサーモトロピック・ネマチック液晶(MBBA、E8、ZLI-1167)を用いて、平衡状態にある純粋液晶と力学的に構造を乱した液晶の紫外から近赤外領域のスペクトルを紫外・可視・近赤外分光光度計を用いて測定し、濁度(光の全散乱断面積)の波長依存性を調べた。液晶の散乱が強いため、この測定には主として光路長1mmの石英セルを用いた。液晶の構造を乱すために、空のセルに注射器より液晶を注ぐ、栓つきセルに液晶を入れて振る、撹拌するなどの手段を用いた。 液晶の構造を力学的に乱すと白濁が強まったが、これは散乱強度の増加によるものである。どの液晶でも散乱強度の増加は光の波長が長いほど大きいことが観測された。この波長依存性は通常のレイリー散乱や静置した液晶の光散乱とは反対で興味深い現象である。最初に、入射光が液晶中の2点(2ケ所の回位)で散乱し、互いに干渉すると考え、2点間の間隔を一定として散乱強度の理論式を導いた。この式で全散乱断面積の波長依存性をかなりよく説明することができた。次に、液晶の回位の距離の分布にガウス分布を仮定して、MBBAの場合の全散乱断面積の波長依存性から分布の中心位置(平均距離)と標準偏差を求めたところ、標準偏差が小さいことがわかった。現在、この結果を細分化したドメインのサイズ分布に関連させる理論的方法を検討中である。 MBBAについて、濁度の時間変化より構造緩和の時定数を求めたところ、時定数の異なる2つの緩和過程が見い出された。
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