1999 Fiscal Year Annual Research Report
遠隔炭素(13)―水素相関スペクトルを用いた第4級炭素の立体化学決定法
Project/Area Number |
11874081
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
上原 忠夫 宇都宮大学, 工学部, 教授 (10004459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 昌子 東北大学, 理学研究科, 助教授 (80004414)
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Keywords | 立体化学 / 核磁気共鳴スペクトル / 炭素(13)―水素結合定数 / 第4級炭素 / 相関スペクトル |
Research Abstract |
有機化合物の立体化学を核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR)で決定する場合、化学シフト、スピン―スピン結合定数の解析、核オーバーハウザー効果(nOe)の有無、等が有効である。しかし、第4級炭素に第4級炭素が結合した場合の立体化学の決定は、問題の炭素にプロトンが無いことから、必ずしも簡単ではない。例えば環状ケトンに2-ベンゾチアゾリルリチウムを付加させた場合に得られるアルコールがこれにあたる。 このような化合物として、5-員環が循環した5-員環(1)、5-員環が縮環した6-員環(2)、ビシクロ[3.2.1]架橋化合物(3)、のカルボニル基に2-ベンゾチアゾリルリチウム、2-(4,5-ジメチル)チアゾリルリチウム、又は2-(N-メチル)イミダゾリルリチウムを付加させて、アルコールの立体異性体を13組、合計26種類合成した。次いで、これらの遠隔C-Hスピン―スピン結合相関(COLOC)を測定した。 この相関図から遠隔C-Hスピン結合(3J)が確認されたものは、(2)から得られたヘテロ環が6員環のアキシアル位にあるアルコールで、分子力場計算から算出された対応する二面角は168゜程度であった。一方、二面角が148〜157゜程度と算出されたビシクロ[3.2.1]架橋系のアルコールでは、遠隔C-Hスピン―スピン結合は見られなかった。 今回の測定は、3J>11Hzの条件で行ったが、パラメーターを絞り込めば、10゜程度の二面角の差が識別できることが分かった。従って、遠隔スピン―スピン結合相関図の作成が、第4級炭素の立体化学決定にも有効であることが示された。
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