2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11874082
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩澤 伸治 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (40168563)
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Keywords | 分子内Diels-Alder反応 / アルキン-コバルト錯体 / 中員環化合物 / 錯体ジエン |
Research Abstract |
アルキン-ヘキサカルボニルジコバルト(Co_2(CO)_6)錯体はアルキンとオクタカルボニルジコバルト(Co_2(CO)_8)を混合するだけで容易に調製することができ、空気中でも取り扱いが可能な安定な錯体である。この錯体は四面体型の二核錯体であり、錯体中のアルキン部位は結合角が約140度と、アルケンに近い構造を有することが知られている。我々はこのようにアルキンがCo_2(CO)_8と錯形成することにより著しく構造が変化することに着目し、この錯形成による構造の変化そのものを反応の制御に利用することを考え、アルキンの両端にジエン部分とジエノフィル部分を有する化合物とコバルトとの錯形成により、二つの反応部位が接近し、分子内Diels-Alder反応が進行する可能性について検討を行った。 前年度の研究では、ジエン部位としてフランを有する基質を用いて検討を行い、錯体形成により平衡的に分子内Diels-Alder反応が進行することを見いだした。本年度はまずこの反応において、環化した錯体から脱錯体を行うことによりretro-Diels-Alder反応を起こさせ、原料の基質に変換することを検討した。さまざまな条件を検討したが、ほとんどの場合反応系が複雑となり目的とする錯体形成・脱錯体を反応のswitchingとする反応系を構築することが出来なかった。また鎖状ジエンを用いて同様にCo_2(CO)_8との錯体形成により分子内Diels-Alder反応が進行する可能性について検討を行った。その結果、アルキン-Co_2(CO)_6錯体はそのままでは分子内Diels-Alder反応を起こさなかったが、この錯体に塩化メチレン中BF_3・OEt_2を作用させると速やかに分子内Diels-Alder反応が進行し、中員環を含む多環性化合物が立体選択的に得られることを見いだした。
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Research Products
(1 results)