2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11874097
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
魚崎 泰弘 徳島大学, 工学部, 助教授 (90160225)
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Keywords | 超臨界流体 / 二酸化炭素 / 有機磁性体 / 結晶成長 / 溶解度 / 結晶化 |
Research Abstract |
有機磁性体を構成する成分の溶解度測定を,極性の異なる三種類の超臨界流体(二酸化炭素,亜酸化窒素,トリフロロメタン)中で,温度範囲293.2K〜328.2K,最高圧力20MPaで測定を行った。いずれの流体においても,臨界圧力近傍で溶解度の増大が観測された。有機金属化合物の溶解度は低かったが,テトラシアノエチレン(TCNE)についてはある程度の溶解度を示した。ただ,流体による各成分の溶解度の差はそれほど大きくはなかったので,一番安価な二酸化炭素を流体として使用するのが適当であると判断した。しかしながら,有機金属化合物の溶解度があまりにも低いので,当初予定していた有機磁性体についての検討が不可能となった。そこで,有機磁性体の今後のモデル化合物として有望であるTCNEを一成分し,金属を含まない電子供与体との電荷移動錯体の結晶化を308.2K〜328.2Kの温度,最高圧力20MPaの条件下で,流体の流出速度を変化させて試みた。その結果,次のような結果が得られた;結晶化の温度は,流体の密度変化が大きくなる臨界温度(304.2K)近傍の温度(308.2K)を選択するのが良い;圧力は各成分が完全溶解すれば,高圧力にする必要はない;各成分の仕込み比を2倍程度変化させても,1:1の結晶生成が可能(過剰成分は単独で結晶化する);臨界圧力近傍で流出速度を非常に小さくすることにより,15mm程度の針状結晶がヘキサメチルベンゼンとTCNE系では得られるが,流出速度が速すぎると,針状結晶ではなく粉末状に近い結晶となる。
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