1999 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロダイン微分干渉近接場顕微鏡による単一分子検出
Project/Area Number |
11874105
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
笹木 敬司 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (00183822)
|
Keywords | 単一分子検出 / ヘテロダイン微分干渉 / 近接場顕微分光 / 時間分解分光 / 光局在場 / 複素分極率 |
Research Abstract |
本研究では、超高感度・高精度な光計測法であるヘテロダイン微分干渉法を用いた全く新しい近接場顕微鏡を開発し、単一分子の複素分極率を計測するシステムの構築を目的としている。本システムは、近接場顕微鏡のファイバープローブから照射したレーザー光が単一分子によって散乱されたとき、散乱光と照射光の干渉によって極僅かに変化するレーザー光の位相と振幅をヘテロダイン干渉法で検出するものである。光ファイバープローブはナノメートル位置制御用にピエゾ素子で横振動(シェアフォースフィードバック)させるが、この振動により光照射スポット位置が変調され単一分子による散乱状態が変化する信号をロックイン検出(微分干渉動作)することで高感度、高精度に単一分子の複素分極率を解析する。本年度は、近接場プローブの先端に生成する光局在場について波動光学的に解析するとともに、光局在場が単一分子によって散乱された光と照射光の干渉現象を理論的に調べ、シンプルな系を仮定してシミュレーションを行った。また、単一分子の複素分極率、ヘテロダインビート周波数、近接場プローブの振動周波数や振幅などの関数として検出信号強度、レーザー光の位相・振幅の変化を見積もった。これらの解析結果から単一分子検出に最適な光学系や実験条件を求め、空間分解能や複素分極率の解析精度・感度について検討した上で、単一分子のヘテロダイン微分干渉近接場顕微分光法を開発し実験システムを設計した。現在、設計に基づいて単一分子のヘテロダイン微分干渉近接場顕微鏡システムを試作している段階にある。
|