1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11874111
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
青木 優和 筑波大学, 生物科学系, 講師 (70251014)
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Keywords | ヨコエビ類 / 社会性 / 親子関係 / 繁殖生態 / 褐藻類 / 穿孔性 / フクロエビ類 / 子の保護 |
Research Abstract |
本研究では、海産ヨコエビ類の社会性発展の程度を調べ、社会進化の過程を明らかにすることを目標としている。ワカメ等の大型褐藻の根部や茎部に穿孔造巣するヨコエビ類であるネクイムシ類で、造巣生態が著しく異なる2種コンブノネクイムシCeinina japonicaとガラモノネクイムシBiancolina sp.を主なる研究対象として扱っている。これまで、冬季より春季(12月-3月)にかけてワカメ群落からの定期採集(1週間に1回以上)を行った。また、採集した海藻から巣を切り出し、巣の位置・巣の構造・巣中のヨコエビの数・性比・サイズを調べ、それらの季節変化を調べた。これまでに、初期加入時からコンブノネクイムシは一夫一妻であり、このつがいは長期間維持されて幼体は同じ巣内に3腹以上が共存して200個体を越える大きな個体群をつくる場合のあることが明らかになった。一方、ガラモノネクイムシの方は基本的に単独で造巣し、雌は一時的に一腹分10匹以下の幼体と共存することが分かった。2種のヨコエビの繁殖生態の違いは、コンブノネクイムシでは、空間的に限られているが安定した生息基質、ガラモノネクイムシでは、変動が大きいが常に新規供給のある基質を利用するという、両者の資源利用の方法の違いと関係しているとみられる。ネクイムシの巣の構造および巣内個体の数や巣内配置の経時変化については標本を保存し、現在調査中である。
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