1999 Fiscal Year Annual Research Report
原形質連絡の構成成分の検索と新たな機能解析系の開発
Project/Area Number |
11874118
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
飯 哲夫 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40157813)
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Keywords | 原形質連絡 / 植物ウイルス / 移行タンパク |
Research Abstract |
原形質連絡を構成する成分の検索に関しては、タバコモザイクウイルス(TMV)とキュウリモザイクウイルス(CMV)の移行タンパク(MP)をベイトとして、酵母のTwo-hybrid法によるスクリーニングを行った。CMV MPに対しては相互作用するものが得られなかったが、TMV MPの一部を用いたスクリーニングにより十数種の候補が得られた。その中の1つザルコシンオキシダーゼはin vitroにおいてもMPと特異的に相互作用し、植物内でのMPの活性に関与することが示唆された。細胞質におけるタンパク質間相互作用を検出する系としてSos-recruiting systemを用いてMPの挙動を調べたところ、この系がMPをベイトとするスクリーニングに有効なことが分かった。MPが膜画分にも存在するという報告があるが、得られた結果はそれとは一致しなかった。また、複製酵素との相互作用は認められなかった。 上記の解析の過程で、これまでに多くの研究者がin vitroの実験に用いてきたMPは、多量体あるいは凝集体となっっているため構造的に問題のあることが分かった。すなわち、従来の報告にあるMPの活性は再検討を要すものである。そこで、in vivoにおけるMPの活性をウイルス感染時と非感染時において比較検討した。その結果、TMVを移行させる能力に関して、MPは発現した細胞から隣接細胞へのみならず、さらに離れた細胞へも移行させる能力があること、すなわち、MPが細胞非自律的に機能することが明らかとなった。一方、MP単独でも移行するするもののその効率は極めて低いことから、MPの機能が十分に発揮されるにはウイルス由来の別の因子が必要であることがわかった。MPによる原形質連絡の排除分子量限界の上昇を確認したが、それが植物に一種のストレス反応を誘起した結果である可能性も生じた。
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