2000 Fiscal Year Annual Research Report
近接場発光制御による単一色素分子のナノの分解能イメージング
Project/Area Number |
11875018
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斎木 敏治 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (70261196)
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Keywords | 近接場光学顕微鏡 / 蛍光分子 / ファイバプローブ / 計算機シミュレーション / 空間分解能 / 単一分子検出 / エネルギー移動 |
Research Abstract |
近接場光学顕微鏡による単一蛍光分子の高分解能検出のためには,従来の近接場ファイバプローブに対する性能改善が最も重要な課題であった.そこで本研究では,主にテーパー構造の設計・最適化による蛍光集光効率向上と良質な金属微小開口を実現するための作製手法の確立を目指した.テーパー構造に関しては,二段階プローブが最適構造であることを提案し,さらに計算機シミュレーションを取り入れることによって,細かな構造パラメータの最適化を試みた.一方,開口作製に関しては,観察試料基板に対して先端を押し付けるという原始的ではあるが,理にかなった方法を採用した.これにより,開口が小さく,真円状でかつ開口面が平坦な理想的プローブが実現された. このようにして準備したプローブを使用し,単一蛍光分子検出に取り組んだ.試料としては石英基板表面に色素分子Cy5.5を分散させたものを観察した.プローブにヘリウムネオンレーザ光を導入し,開口を通して色素分子に照射する.分子からの蛍光を再び開口を通して集光し,アバランシェフォトダイオードでフォトンカウンティング検出する.ピエゾ素子を使って試料を走査することにより二次元画像を取得した結果,一つの蛍光分子を15〜30nmの高分解能でイメージングすることに成功した.特に開口径が30nmであるにもかかわらず15nmの分解能が得られることが何度かあった.このような超分解能のメカニズムとしては,開口金属と蛍光分子との間のエネルギー移動などが考えられる.もしこのメカニズムが実際に寄与しているとすると,最終的には数nmの分解能も達成可能である.
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[Publications] N.Hosaka and T.Saiki: "Near-field fluorescence imaging of single molecules with a resolution in the range of 1nm"Journal of Microscopy. (in press). (2001)
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[Publications] 斎木敏治(分担執筆): "走査型プローブ顕微鏡 基礎と未来予測"森田清三編著,丸善. 181 (2000)