1999 Fiscal Year Annual Research Report
光照射をセシウム光電離と電極加熱に利用する高効率熱電子発電器の研究
Project/Area Number |
11875021
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
神藤 正士 静岡大学, 工学部, 教授 (60023248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 治久 静岡大学, 電子工学研究所, 助教授 (70204948)
畑中 義式 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (60006278)
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Keywords | 熱電子発電器 / 仕事関数 / 太陽光 / コジェネレーション / 空間電荷中和度 / セシウム / 光励起 |
Research Abstract |
熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電方式の1つである熱電子発電は、既に数10年にわたる研究があり、核エネルギーを利用する宇宙用熱電子発電器から、化石燃料の燃焼熱を利用する熱電子発電器まで、その用途に応じた種々の方式が研究されている。 熱電子発電では、エミッタからの熱電子により形成される負の空間電位の緩和が最大の問題であり、発電器内に封入したセシウムの電離と電極間距離の短縮(1mm以下)が効果を挙げている。本研究では、太陽光をエネルギー源とする熱電子発電器の開発を目的として、その基本特性を解明することを目的としている。セシウム原子は極めて低い励起および電離電圧を有するために、太陽光の短波長成分によるセシウム原子の光励起が可能となり、同時に、長波長成分でエミッタ電極の加熱を行えば、太陽光の有する全波長成分の有効利用が可能になる。発電時にはコレクタの冷却が必要であるが、この時得られる温水を活用すれば、コジェネレーションシステムが構築され、熱電併用時の総合効率は80%に達する。直接発電である熱電子発電は可動部を持たず静寂であるので家庭用を始めとして広い用途が考えられ、地球環境の保全にも貢献できるものと思われる。 本研究では光照射可能な熱電子発電器を試作し、光源として太陽光に類似のスペクトルを持つキセノンランプを用いた。エミッタ温度はヒータ電流により、セシウム蒸気温度は電気炉の温度調節により制御される。この装置を用いて実験を行い、光照射が発電特性の改善に効果的となる条件を求めた結果、改善効果は以下の3つの条件を満たすときに顕著であることが判った。1)空間電荷中和度<10^<-2>、2)エミッタからの熱電子放出電流>10^<-3>(A/cm^2)、3)エミッタ仕事関数>2.2eV。この条件が満たされる場合に、セシウム原子の光励起・電離が体積電離のトリガとなって大きな出力の得られる点火モードヘの遷移が促進されているものと解釈できる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 荻野明久: "光照射により動作する熱電子発電器の特性"電子学会論文誌A. 119A・8/9. 1120-1126 (1999)
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[Publications] W,Zheng: "Effect of illumination on thermionic energy converter characteristics"Japanese Journal of Applied Physics. 39・5. (2000)