1999 Fiscal Year Annual Research Report
電流下の原子流束発散に着目したトムソン効果発生機構解明の新規アプローチ
Project/Area Number |
11875024
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坂 真澄 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20158918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹川 和彦 弘前大学, 理工学部, 助教授 (50250676)
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Keywords | トムソン効果 / 熱電効果 / 発 / 吸熱現象 / 原子流束発散 / 発生機構 / 電子機器 / 温度勾配 / 電流密度 |
Research Abstract |
電子機器等、温度勾配下の部材に電流が流れるとき熱の発生または吸収が生じる現象は、熱電効果の一つであるトムソン効果として知られている。しかしながらその発生機構の詳細は未だ不明な状況にある。本研究は、電流下における金属原子流束の発散現象とトムソン効果との相関関係を定式化し、さらにその検証を行うことにより、トムソン効果発生機構の解明を目指すものである。本年度は以下の項目の研究を実施した。 (I)トムソン効果の詳細な現象掌握 トムソン効果の詳細な現象の掌握を行うことを目的として、これまでそのデータがほとんど公表されていないトムソン係数の実験計測を行った。アルミ、銅および純鉄の細い丸棒試験片に温度勾配を形成し、定電流直流電源装置を用いて通電を行うと共に試験片の電位を計測することにより、原子流束の発散現象による材料損傷を反映する電気抵抗変化をモニタした。またこのときの材料の一次元温度分布を計測することにより、トムソン係数の値を算出した。以上の実験研究は現在続行中である。ここではさらにトムソン係数の温度依存性、温度勾配依存性、電流密度依存性についても調査する予定である。一方、対象材料における絶対熱電能の温度依存性の計測を行い、この結果を熱電効果に関する古典理論に適用したトムソン係数の値を算出する実験研究について現在着手中であり、今後丸棒試験片の温度分布より得られる直接的なトムソン係数の計測値と古典理論に基づいて導出したトムソン係数を比較してトムソン効果発生機構に関する古典理論の矛盾点を調査する予定である。
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