1999 Fiscal Year Annual Research Report
分離性接着剤を用いた超微細部品固定用治具に関する基礎的研究
Project/Area Number |
11875034
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
和田 選 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (90301176)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 千明 東京工業大学, 精密工学研究所, 助教授 (80235366)
北條 春夫 東京工業大学, 精密工学研究所, 教授 (40108238)
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Keywords | 接着 / 分離 / 固定法 / チャック / 微細部品 / 機械加工 / 光触媒 / 吸水性樹脂 |
Research Abstract |
本年度は研究の初年であり,このため分離接着技術の基本的特性について実験的に調べた.具体的には,吸水性樹脂混入形分離接着剤について,接着部の分離を引き起こす水分の浸透速度,これにより引き起こされる吸水性樹脂の湿潤膨張と変形および発生する応力を,アルミ合金を用いた重ね合わせ接着梁試験片を用いて測定した.さらに,接着接合部分離の模様,特に接着剤層を伝播する亀裂の進展挙動を,来年度予算で購入した長焦点顕微鏡システムにより測定し,接合部の破壊速度と接着剤層の湿潤膨張の関係を定量的に評価した.以上の実験より,以下の知見が得られた. 1.吸水性樹脂混入形分離接着剤を用いて被着体の再分離(接着部の分解)が可能であることを実証した. 2.典型的な寸法の試験片(1cm×1cm)の分離にかかる水浸漬時間はおよそ10時間であった. 3.吸水性樹脂の混入比率が高いほど再分離も容易になるが,静的強度も低下した. 4.水分の浸透速度は吸水性樹脂の混入比率に非常に敏感で,ある閾値を越えると急激に増加した.したがって大面積接着部の再分離にはこの閾値を越えた吸水性樹脂の混入が好ましい. 5.接着梁試験片を用いた実験では,接着部の再分離には,分離接着の特性のみならず,被着体の変形量が大きな影響を及ぼしていると考えられる.すなわち,被着体が大きく撓んでいる試験片の分離は,そうでないものよりも早かった. 6.亀裂進展速度は,接着剤層のどの個所を亀裂が進展するかに大きく依存した.特に5000番台のアルミ合金を用いた場合には,亀裂は接着剤-アルミ合金界面を進展し,このため再分離も急速かつスムースに生じた.この事実より,接着接合部の再分離には,接着剤の特性のみならず,被着体の材質にも大きく影響を受けていることが分かった. なお,界面エネルギー制御分離法については,幾つかの実験を実施したが,いまのところ十分な再分離性は得られていない.この点については引き続き来年度に集中的な検討を実施する予定である.
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