1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11875041
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
南 一郎 高知工科大学, 工学部, 助教授 (00183111)
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Keywords | トライボロジー / パーフルオロポリエーテル / 潤滑性向上剤 / トライボ化学反応 / 表面分析 / 摩擦試験 / 安定性向上剤 |
Research Abstract |
主鎖構造が異なる市販のパーフルオロポリエーテルの中から2種類を基油として選び境界潤滑条件下(ASTM D 4172)で潤滑性を評価した.摩耗低減能は,同じ粘度の無添加鉱油と同じレベルで摩擦低減能は鉱油よりもやや劣ることが判明した.この結果から潤滑性を向上する添加剤が必要であることが判明した.従来の添加剤は鉱油に溶解するように炭化水素を基本骨格としている.これらの化合物はパーフルオロポリエーテルには全く溶解しない.懸濁液として用いても潤滑性の向上に効果が見られなかった.そこで基油と類似の構造をもつパーフルオロアルキル基を基本骨格とする添加剤の開発を検討した. モデル添加剤として長鎖のパーフルオロアルコールおよび長鎖のパーフルオロカルボン酸をえらび基油への溶解性を調べた.主鎖にアセタール結合を持つパーフルオロポリエーテルに対してアルコールが可溶,カルボン酸は微溶であった.一方主鎖にアセタール構造を有しないパーフルオロポリエーテルはモデル添加剤をほとんど溶解しない.添加剤溶液の摩擦試験では潤滑性の向上はほとんど見られなかった.摩擦試験後の表面には部分的な焼付きが観察された.このような極圧条件下ではパーフルオロポリエーテルが分解し,分解物の中に腐食摩耗が起こす物質が含まれる可能性があることを分子動力学計算より推定した.以上の結果から化学的に安定とされるパーフルオロポリエーテルは摩耗が起こるような条件下では分解反応を起こすので使用に適さないことが判明した.以上の結果から(1)パーフルオロポリエーテルは低荷重で摩耗があまり問題とならないような条件下の使用に適する(2)潤滑性を直接向上する添加剤に加えて安定性を向上する化合物が必要であること,が判明した.
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