2000 Fiscal Year Annual Research Report
物体の表面被膜処理によるキャビテーションの抑制と流動抵抗低減に関する基礎研究
Project/Area Number |
11875047
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古川 明徳 九州大学, 工学研究院, 教授 (30112410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石坂 公一 九州大学, 工学研究院, 助手 (30038070)
渡邉 聰 九州大学, 工学研究院, 助教授 (50304738)
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Keywords | 流体機械 / 表面被膜処理 / 流体抵抗軽減 / キャビテーション初生 / ダリウス水車 / インデューサ |
Research Abstract |
近年,液体を扱う流体機械において流動抵抗低減による効率向上とキャビテーションによる性能低下は解決すべき問題の一つとなっている.本研究は,近年,著しく発達してきた表面被膜材料の高質化と高度処理技術化を流体機械要素(とくに翼面)に応用して性能改善の可能性を探るとともに,利用上の問題点を明らかにすることを目的とし,まず,(1)流体機器実機を利用した,表面被膜処理が機器の全体性能に及ぼすマクロ的な影響調査を行って,その効果を確認したのち,(2)翼面被膜処理が物体周りの流れ構造に及ぼすミクロ的な影響調査を行うこととして研究を進めてきた,項目(1)について,対象機器の一つに低レイノルズ数での運転が余儀なくされる低落差用ダリウス形水車を上げ,その翼に市販の超撥水性・親水性被膜を施し,その性能比較を行った.その結果,被膜処理に伴う翼厚みの変化が性能に大きな影響を与え,被膜自体による流動抵抗低減とキャビテーション抑制の明確な効果は見出せなかった.さらに,常にキャビテーション伴った運転となるポンプインデューサを対象機器に上げ,光触媒法による超親水性被膜を施して調査した.その結果は,被膜処理前の性能と大差ないことが知られた.この原因を被膜の耐久性の面から調査したところ,回転数5000rpmという高速回転下での運転のため親水性機能が短時間で喪失することが知られ,被膜の効果が静止管内流において確認されているものの,回転する翼車への応用は未だ難しいことが明確となった.今後は,翼面での被膜処理と作動流体の物性処理の両技術の複合的活用について性能改善の可能性と処理の耐久性など利用上の問題点を明らかにしていく予定である.
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